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弁護士に債務整理を依頼した場合に解決までに必要な期間

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2023年5月30日

1 事例の設定

本稿では、弁護士に任意整理を依頼した場合に解決までに必要な期間について、事例を設定してご説明します。

相談者のAさんは、A銀行のカードローンから200万円、消費者金融のB社から200万円、クレジットカード会社のC社から100万円の借り入れがあり、またC社に対してはショッピングの利用残(リボ払い)が100万円あります。

合計600万円の負債で月々の返済額は20万円近くまで膨らんでいました。

借金の原因は、二人の子供の教育費等で出費が増えたためで、収入の減少はありません。

月々10万円程度であれば返済は可能です。

2 相談から受任へ

4月1日、Aさんは弁護士に相談しました。

担当弁護士は、負債額600万円であれば、任意整理を行えば返済回数60回で月々10万円になると判断し、その内容をAさんに説明しました。

Aさんも、家計収支を検討し、月々10万円程度であれば現在の収入で返済できると判断して任意整理を行うことに決めました。

弁護士費用は1社につき5万5000円、郵便代等の実費は別途とし、任意整理後の返済予定額である10万円を毎月弁護士の口座に振り込むこととしました。

なお、任意整理を弁護士に委任した場合、対象業者への返済はストップすることになります。

Aさんの相談は午後6時からでしたので、任意整理の委任を受けた弁護士は翌4月2日に3社に対し受任通知を送付しました。

3 費用の積み立てと債権調査

B社からの債権調査票は4月中に届きましたが、C社についてはAさんがクレジットカード払いになっている公共料金の支払い方法を変更する必要があったため、負債額が確定したのは7月末となりました。

また、A銀行の負債は保証会社であるD社の保証が付いていますが、D社による代位弁済は5月上旬に行われました。

Aさんは4月25日に10万円、5月25日に10万円を弁護士の口座に振り込みました。

4 和解交渉

5月25日の10万円の振り込みにより、弁護士費用と実費に充てる金額の積み立ては完了しましたので、5月27日、弁護士は、金額が確定しているB社とD社に60回分割を内容とする和解提案書を送付しました。

両社とも6月10日頃には担当者から弁護士に電話連絡があり、弁護士からAさんの収入や支出の状況を説明した上で、60回分割で和解することとなりました。

両社とも和解書は6月末までには揃い、8月から合意にしたがった返済を開始することになりました。

C社の負債額は7月末に確定しましたので、弁護士は、8月5日にC社に対し60回分割を内容とする和解提案を送付しました。

8月はお盆休みがあるため、C社の担当者から連絡があったのは8月18日で、60回分割で合意することとなりました。

C社の和解書は9月10日に届き、返済は10月からとなりました。

5 事例の検討

上記事例では、Aさんは4月2日に弁護士に任意整理を委任し、手続が概ね完了したのはC社から和解書が届いた9月10日になります。

任意整理では、解決までにかかる期間は、主に、①弁護士費用の準備に必要な期間と(分割払いの場合)、②負債額が確定するまでの期間により長短が決まることになります。

対象業者が消費者金融会社のみで(消費者金融の場合負債額はすぐに確定します)、費用も契約時に全額用意できる場合は、1か月程度での解決も可能と言うことになります。

債務整理について相談するタイミング

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2023年1月20日

1 タイミングを間違う典型例

債務整理について相談するタイミングを間違う典型例は、住宅ローンで購入した自宅について返済が厳しくなったため任意売却を行い、または競売が行われたものの、住宅ローンが残ってしまったケースです。

このようなケースでは、住宅ローン会社(または保証会社)は、住宅ローン債権が時効により消滅するのを防ぐため住宅ローン債務者の方に毎月数千円程度の支払いを求めることがあり、住宅ローン債務者の方もその程度なら支払えると思い長期間にわたって毎月数千円程度ずつ返済していることがあります。

しかし、住宅ローン債権は元金の金額も大きく、その分発生する遅延損害金も多額になりますので、毎月数千円程度の返済では、元金を減らすことはできません。

このような場合、完済することは困難なのですから、遅くとも任意売却または競売が終了した時点で直ちに債務整理について相談し、自己破産等の手続きを行っておくべきですが、長期にわたり毎月数千円ずつ返済した後に債務整理の相談をして自己破産をすることになれば、それまでに返済した金額は無駄だった、ということになります。

2 タイミング遅れによる給料の差し押さえ

消費者金融やクレジットカード会社への返済が滞ったものの、仕事が忙しい等の理由でそれを放置していると、訴訟を起こされることも多く、判決が出るとそれに基づき給料の差し押さえが行われることがあります。

給料を差し押さえられると、当該業者と任意整理を行うことはまず困難で、個人再生または自己破産を検討することになりますが、それらの申立てを行うまで差し押さえは継続されることが通常ですので、破産等の費用の準備も困難になることがあります。

そのため、債務整理の相談をしないまま借金について延滞してしまったら、直ちに弁護士に債務整理の相談を行ってください。

3 早めの相談がベスト

順調に返済できている間は債務整理の相談を考える方はまずいないと思いますが、返済が厳しく同一業者から返済のための借入れをするようになった場合や(残高が常に借入限度額に近い状態になっている場合です)、既に借り入れをしている業者への返済のために他の業者との契約を考えている場合は、早めに債務整理の相談をすることをお勧めします。

自転車操業に陥ってしまった場合、その後収入が増える等の事情がないと完済することは厳しく、借入業者や借入残高が増えるほど、選択できる債務整理の手段も狭まってしまいます。

債務整理を得意とする弁護士に相談するメリット

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2024年6月25日

1 任意整理におけるメリット

債務整理を得意とする弁護士に相談することには、任意整理の手続きにおいて大きなメリットがあります。

任意整理は、消費者金融会社やクレジットカード会社と返済条件の変更を個別に交渉しますが、合意の内容は、通常、現在の負債を3年から5年の期間で分割返済するというものになります。

しかし、合意可能な条件は業者により異なることがあり、また、任意整理そのものが困難な業者も存在します。

そのため、任意整理を行うことで債務整理の目的を達成することができるかどうかについては、業者毎の傾向を把握していなければ判断することができません。

債務整理を得意とする弁護士であれば、債務整理の案件を多数処理する過程で業者毎の傾向を把握していますので、任意整理が適切な手段であるのかどうかを的確に判断することが可能です。

2 個人再生におけるメリット

個人再生では、住宅資金特別条項を利用することにより、住宅ローンの返済を継続しながら他の負債について整理できますが、利用するためにはいくつかの条件があり、その条件をしっかり把握しておく必要があります。

個人再生の経験が少ない弁護士の場合、相談の際に聞かなければならない点を見逃してしまうことも考えられます。

例えば、住宅ローンとして2300万円を借り入れたものの、自宅の売買代金として支払ったのは2000万円のみで、残りの300万円は車や家電の購入代金に充てていた場合、住宅資金特別条項を使えない可能性がありますので、相談の際には、住宅ローンの使途を聞き取る必要があります。

債務整理が得意な弁護士であれば、住宅資金特別条項の利用条件をしっかり把握していますので、的確な対応をすることが可能です。

3 自己破産におけるメリット

個人の方の自己破産手続の場合、最終的に免責が許可されるかどうかがポイントとなります。

免責不許可事由として一般の方にもよく知られているのはギャンブルや浪費ですが、これらの事情があったとしても、免責が不許可になることはほとんどありません。

ただ、自己破産の経験が少ない弁護士の場合、免責不許可事由の存在を過度に重く見てしまい、ギャンブル等の事情がある場合は個人再生を勧めてしまうこともあるようです。

個人再生の場合、負債額は原則として減額されますが、返済が必要です。

債務整理が得意な弁護士であれば、免責不許可事由があっても免責されるかどうかを的確に判断することができます。

債務整理は多くの弁護士が取り扱っていますが、得手不得手はありますので、得意な弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に債務整理の依頼をした場合の流れ

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2022年4月21日

1 弁護士に債務整理を依頼するまで

弁護士に債務整理を依頼するには、まず弁護士の法律相談を受ける必要があります。

弁護士は、債務整理の法律相談で、ご相談者の方の負債状況や収入状況等をうかがい、ご相談者の方に最もふさわしい債務整理の手段をご提案することになります。

弁護士がご提案した債務整理の手段についてご相談者の方も納得いただきますと、弁護士は、その手段を行うのに必要な費用(見積もり)を提示しますので、その金額に納得いただきましたら、契約手続きに進むことになります。

なお、弁護士法人心では、債務整理のご相談は電話でも可能ですが、ご依頼をいただく際は、直接ご面談をさせていただく必要がございますので、ご面談の日時を設定させていただくことになります。

2 ご依頼いただいた直後に弁護士が行うこと

債務整理のご依頼をいただきますと、弁護士はまず、貸金業者等の対象となる債権者に受任通知という書類を送付します。

受任通知には、弁護士がご依頼者の方の債務整理を受任したことや、今後の連絡は受任弁護士まで行ってほしいこと等を記載しています。

送付の対象となる債権者は、自己破産と個人再生の場合は原則として全債権者となりますが、任意整理の場合は当該手続きを行う業者のみとなります。

銀行カードローン等、保証会社が付されている負債については、銀行等が弁護士からの受任通知を受領すると保証会社から弁済を受ける手続きに入りますので、預金口座を有する債権者については、その預金口座は当面の間凍結されることになります。

3 費用の積み立て

債務整理のご依頼をいただきますと、費用の積み立てを開始していただきます(いわゆる分割払いです)。

任意整理の場合、費用の分割積み立ては、任意整理を行った場合に返済ができるかどうかをチェックする「履行テスト」も兼ねていますので、月々の分割金は、原則として、任意整理で想定される月々の返済金額以上の金額を設定させていただくことになります。

自己破産と個人再生の場合の費用の分割払いはケースバイケースとなりますが、費用総額を1年以内で積み立てていただくのが原則となります。

なお、任意整理の場合は対象となる業者、自己破産および個人再生の場合はすべての債権者について返済をストップしていただきますので、返済に充てていた金額を費用として積み立てていただくという形になります。

4 手続きの開始

任意整理の場合、費用積み立てが完了しましたら、業者との交渉を開始し、返済条件変更の合意を行います。

合意後、その合意内容にしたがった返済を開始します。

自己破産および個人再生の場合は、積み立て完了後に裁判所に申立てを行います。

債務整理を弁護士に依頼した場合と司法書士に依頼した場合の違い

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2024年6月20日

1 任意整理について

弁護士と司法書士に依頼した場合の違いについて、任意整理から説明いたします。

任意整理について依頼を受けた弁護士または簡裁訴訟代理等関係業務を行うことができる認定司法書士は、依頼者の代理人として、消費者金融会社社やクレジットカード会社等と返済条件の変更について交渉することになります。

ただし、認定司法書士に認められた代理権は簡裁代理権となりますので、負債が140万円を超える場合は、債務者の代理人となることはできません(また、認定司法書士以外の司法書士は140万円以下でも代理業務はできません)。

例えば、負債(元金)金額がA社は100万円、B社は120万円、C社が150万円の場合、認定司法書士は、C社についての任意整理を受任することはできません。

2 自己破産について

自己破産は、弁護士が債務者の代理人として手続きを行うことができますが、司法書士は認定司法書士でも債務者の代理人になることはできないため、代理人としての活動はできません。

司法書士は、自己破産手続についての書類の作成を代行することはできますので、司法書士に自己破産を依頼する場合、書類作成の代行を依頼することになります。

千葉地方裁判所の管財手続きの場合、弁護士が代理人として申立てを行った場合は原則として少額管財となりますが、司法書士が書類作成の代行を行って債務者ご本人が申立てを行った場合、少額管財よりも予納金の高い通常管財となります。

そのため、管財手続きの場合、予納金として準備しなければならない金額は、通常、司法書士に書類作成代行を依頼した場合の方が多くなります。

3 個人再生について

個人再生手続きについても、自己破産手続と同じく、司法書士は代理人としての活動ができません。

そのため、司法書士に個人再生手続きを依頼する場合は、書類作成の代行を依頼することになります。

千葉地方裁判所の個人再生手続きの場合、弁護士が代理人として申立てを行った場合は原則として個人再生委員は選任されませんが、債務者ご本人による申立の場合は個人再生委員が必ず選任されます。

司法書士が書類作成を代行した場合でも、債務者ご本人による申立てとなりますので、個人再生委員の費用が必ず必要になります。

債務整理を弁護士に依頼するメリット

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2022年7月19日

1 最適な債務整理の方法について検討してもらえる

「債務整理」と一口に言っても、任意整理、個人再生、自己破産という方針があります。

特定調停もありますが、個人の債務整理では最近あまり使われていない手段といえますので、基本は上記の3種類ということでよいと思います。

債務整理を検討している方は、まず「自分にとってどの方針を選択すればよいのか」「そもそも希望する方針で解決できるのか」という問題に直面します。

インターネット検索等である程度情報収集することもできますが、インターネットの情報は、必ずしも正確なものばかりではありません。

実際、インターネットの情報で誤解してご相談に来た方に対して、正確な情報をお伝えした上で、方針選択をするというようなケースもあります。

弁護士に依頼することには、各方針の詳しいメリット・デメリットを知り、自分の場合どのような方針選択がよいかというところまで相談することができ、状況にあった債務整理をすることができるという利点があります。

2 債権者からの取り立てが止まる

各債権者への支払いが一定期間滞った状態が続くと、債権者からの督促も厳しくなってきます。

それだけで精神的にまいってしまう方もいると思います。

督促が厳しくなってきたことをきっかけに、弁護士に相談しようと考える方もいらっしゃるようです。

債権者からの督促を止めるため、依頼を受けた弁護士がまず初めに行うのは、弁護士介入の通知を送付することです。

この通知は、受任通知などと一般的に呼ばれます。

債権者に受任通知を送付した後は、弁護士が対債権者の窓口となります。

これは、どのような方針を選択したとしても基本的に変わりません。

受任通知を受け取った債権者は、貸金業法の規定により、直接債務者へ連絡することはできなくなります(貸金業法21条1項9号参照)。

そのため、以降は債権者から督促の電話がかかってきたり、支払催促の郵便が届いたりすることはなくなります。

もちろん、取立ての連絡が止まっただけでは借金問題は解決しませんが、連絡が来なくなるだけで、気持ちも楽になるかと思います。

3 債権者等とのやり取りを弁護士に任せることができる

上記のとおり、弁護士介入後は、弁護士が窓口となりますので、その後の対応はすべて弁護士が行うことになります。

任意整理であれば、各債権者との分割交渉を行わなければなりません。

各債権者は少しでも自分たちに有利な内容での返済を求めるでしょうから、一部の債権者に対して毎月高額の返済をすることで合意してしまうと、他の債権者へ返済する余裕がなくなり、返済を継続することが難しい状況に陥ってしまうことも考えられます。

また、個人再生手続きでは、住宅ローン返済中の自宅を手元に残すことができる場合がありますが、住宅ローンの契約は人それぞれ違いますし、状況に合わせた住宅ローン債権者との協議が必要になります。

これも、個人で行うことは簡単ではないと思います。

自己破産の場合、不動産の売却や自動車の引き上げに対して対応することが必要な場合がありますが、自動車ローンの債権者からの引き上げ要求に応じてよい場合とそうでない場合がありますので、それを見極めた上での対応が求められます。

このあたりは裁判上でも問題となる点ですので、専門的な知識が要求されます。

以上のような問題を弁護士に任せて進められるのは、債務整理を弁護士に依頼する大きなメリットです。

4 債務整理手続きがスムーズに進む

任意整理であれば、各債権者との交渉が必要となりますが、そもそも応じてもらえないような和解提案をしても、時間がかかるばかりで、なかなか合意に至ることは難しいのではないでしょうか。

適切な提案、交渉によってスムーズな解決が図れるといえます。

また、自己破産や個人再生の申立てを債務者本人で行うことはできないわけではありませんが、申立書類の作成、資料準備等、わからないことも多いと思います。

弁護士が関与することで、スムーズな申立て準備、申立て後の手続き進行が期待できます。

スムーズな解決は、早期の生活再建につながります。

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弁護士への相談

借金を返すことができずお悩みの場合、「借金を返すために、別の業者から更に借り入れる」「おまとめローンを使う」などといった方法を考える方もいらっしゃいますが、根本的な解決にならないことが少なくありません。

その他、債務の問題を解決するための方法として、弁護士に相談するというものがあります。

今どれだけ債務が残っているのか、今後の返済はどれくらいであれば可能なのか等をしっかりと伝えて弁護士と相談し、適切な債務整理の方法を検討することをおすすめいたします。

債務整理をするとどうなるか

債務整理をした場合、手持ちの財産がどうなるのかを気にされる方は多いかと思います。

この点については、どのような方法で債務整理を行うのかによって異なります。

例えば、任意整理や個人再生であれば、債務整理後にも一定の返済が必要となりますが、自宅を残せる場合があります。

一方で自己破産は、多くのケースで、手続き後に債務を返済する必要がなくなりますが、自宅等の財産は失うことになります。

それぞれ、債務者にとって有利な点、不利な点がありますので、弁護士に今の状況や希望を伝えて相談されるのがよいかと思います。

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