債務整理の特定調停とは
1 特定調停は債務整理の手段のひとつ
特定調停は、裁判所を通して行われる債務整理の手段のひとつです。
多くの法律事務所のホームページでは、個人の方の債務整理のメニューとして、自己破産、個人再生、任意整理の3種類が挙げられ、関連する情報や費用なども明記されています。
しかし、ホームページ上で特定調停を取り上げている法律事務所は必ずしも多くはなく、取り上げていたとしても、費用などの詳細は明記していないというところもあるようです。
調停というと、離婚調停や遺産分割調停という手続きの存在は、一般の方にもよく知られています。
それらに比べて、特定調停についてはほとんど知られていないのは、ホームページ上でもあまり取り上げられていないことが一つの要因であると思われます。
2 特定調停とはどのような手続か
離婚調停では、配偶者の一方が申立人、もう一方が相手方として当事者となり、二名の調停委員が間に入って妥協点を探ることになります。
特定調停でも同様に、債務者が申立人、債権者(消費者金融会社、クレジットカード会社等)が相手方として当事者となり、二名の調停委員が間に入って返済条件変更の妥協点を探ることになります。
参考リンク:裁判所・特定調停手続
なお、離婚調停は家庭裁判所で行われますが、特定調停は簡易裁判所で行われます。
3 債務整理の手段として特定調停が取り扱われていない理由
離婚手続では、親権、財産分与、慰謝料などを決めなければならないことがあり、その場合には法律の知識が必要になります。
そのため、弁護士が離婚調停に代理人として関与しているケースも多くあります。
しかし、消費者金融等からの借入れについての特定調停は、月々の返済額の減額など、返済条件の変更について協議が行われるだけですので、通常、法律知識がなくてもあまり問題がありません。
また、弁護士が特定調停に代理人として裁判所に出頭する場合は、日当などの費用が必要となり、同じように返済条件の変更を目指す手続である任意整理よりも、弁護士費用は割高になります。
同じような結果を目指す手続であれば、割高な費用を準備して弁護士に特定調停を依頼するよりは、任意整理を依頼した方がよいということになります。
そのため、一般の方の債務整理を目的とする場合の特定調停は、法律事務所の取り扱い業務として挙げられてないことが多いのです。
最終的にどの債務整理の方法で行うのがよいかは、一人ひとりの財産状況等によって異なりますので、どの方法を選ぶべきか迷われている方は、一度弁護士にご相談ください。