大規模法律事務所に依頼するメリット
1 研修制度の充実
⑴ 弁護士になるまでに学ぶ内容
弁護士になるためには、まず、法科大学院を卒業(または予備試験に合格)することで司法試験を受験する資格を得た上で、さらに司法試験に合格しなければなりません。
司法試験に合格するためには、憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法といった基本となる法律を学ぶ必要があります。
司法試験に合格すると、司法修習に進むことになります。
司法修習では、民事裁判、刑事裁判、検察、弁護について実務を学ぶことになります。
司法修習を修了し、弁護士登録をすれば、弁護士としての業務を行うことが可能になります。
⑵ 弁護士になった後の研修
弁護士になった後は、所属弁護士会や日本弁護士連合会が主催している研修を受けることができます。
ただ、2~3時間程度の研修が多く、連続講座はほとんどありません。
⑶ 大規模法律事務所の特徴
大規模法律事務所には、所属弁護士の経験等を結集し、事務所内で研修を行っているところもあります。
事務所内での研修では外部者の受講を予定しておらず、事務所に所属する弁護士が受任している個別具体的な案件に即した研修を行うことができるため、より実践的で充実した研修が可能であるといえます。
大規模法律事務所であれば所属している弁護士も多いため、その分研修の内容も多様なものにできる可能性があります。
これにより、所属弁護士のスキルもアップし、よりクオリティーの高いサービスを提供することができるようになります。
2 適正な会計管理
小規模事務所では、顧客からの預かり金の管理も弁護士自身が主導して行っています。
場合によっては、預かり金の分別管理がずさんになってしまっているケースも見受けられます。
さらには、会計管理もデジタル化されておらず、手書きのメモなどアナログで行っている場合もあります。
一方、大規模事務所(特に弁護士法人)では、事務所内に経理部門があり、会計管理は経理部門が行っているのが通常です。
また、事務所によっては顧客毎に預かり金口座を用意し、デジタルの会計管理システムを導入して顧客毎に会計を管理していますので、預かり金の分別管理がずさんになることはないと考えられます。
事案によっては、数千万円の金銭を弁護士(法律事務所)に預託するケースもありますので、適正な会計管理は重要です。
大規模な事務所であれば、事務所内で分業化されており、会計管理が適正に行われているといえます。
3 案件処理の安定性
日本で多い法律事務所の業態としては、所属弁護士数が一人の事務所です。
しかし、このような小規模事務所では、案件を処理する弁護士が何らかの事情で事件処理を継続できなくなった場合、別の事務所の弁護士を探して新たに依頼しなければならないことにもなりかねません。
対して大規模事務所(特に弁護士法人)では、案件を担当する弁護士がその案件の処理をできなくなった場合でも、別の所属弁護士がすぐに担当することが可能です。
受任している弁護士法人の中で担当者が変わるだけであるため、案件を弁護士法人が受任している場合は、改めて委任契約書を取り交わす必要もありません。
大規模法律事務所に依頼する場合、以上のようなメリットが受けられる可能性があります。
弁護士を探す際の参考にしていただければと思います。
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