「債務整理」に関するお役立ち情報
返済のための新規借り入れの問題点
1 多重債務の問題点
例えばA社に50万円、B社に100万円、C社に150万円の借り入れがあり、毎月A社に1万5000円、B社に2万円、C社に2万5000円返済しているとします。
この場合に、返済が厳しくなったためD社から新規に6万円を借り入れ、A社・B社およびC社の返済に充てた場合、負債総額は増額することになります。
なぜなら、D社から借り入れた6万円は全額負債となりますが、A社、B社およびC社に返済した6万円については、そのうちの一部は利息に充当されるため、返済により減少する借入金は6万円未満になるからです。
なお、これはA社、B社またはC社から返済のために追加貸付を受けた場合でも同様です。
このように、返済のために新規借り入れをした場合、負債総額は増えますので、返済額も増えるのが通常です。
これを繰り返すと、月々の返済額は増え続けてしまい、いずれ債務整理が必要になります。
返済のための借り入れは、例えばある月だけ突発的な事情が発生して収入が減少し返済金額に不足が生じたものの、翌月からは回復する十分な見込みがある場合等に限るべきです。
2 任意整理での問題点
任意整理を行う場合、その条件面には、当該業者との取引実績も影響することが多くあります。
例えば、消費者金融業者のA社との取引が10年ある場合、その10年の取引でA社は相当額の利息収入を得ていますので、取引期間が2年の場合と比較し、返済回数等の条件が有利になる場合があります。
逆に、取引期間があまりにも短いと、一括返済や、相当額の頭金の支払いを要求されることがあります。
既存の負債を返済するために、これまで取引のなかった業者からの借り入れを繰り返すと、その後返済が厳しくなり債務整理が必要になった場合に、取引期間の短い業者が複数存在するということになります。
そのような状況で任意整理を行う場合、それらの取引期間の短い業者を対象から外すことも検討せざるを得なくなり、実際に外すとなると、任意整理を行っても月々の返済額はそれほど減らないということにもなりかねません。
返済のために借り入れを繰り返すことは問題の先延ばしにしかならず、メリットはありません。
返済が難しくなった場合には、早めに弁護士に相談することが重要です。