「債務整理」に関するお役立ち情報
自動車以外の物品と所有権留保
1 高価品を購入する場合
世間では、自動車以外でも、壺などの骨董品や、高級時計、宝石類など、数十万円から百万円を超える価格のものが販売されています。
自己資金のない方がこれらのものを購入する場合、カードローン等で借り入れて代金に充てる方法と、ショッピングクレジットを利用する方法が考えられます。
2 借り入れとショッピングクレジットの違い
カードローン等で借り入れた金銭を購入代金に充当した場合、購入した物品の所有権は完全に購入者に移転します。
例えば、甲さんがM銀行のカードローンで300万円を借り入れ、R社の高級時計を購入した場合、その高級時計の所有権は完全に甲に移転します。
そのため、甲がその後、M銀行の負債を対象として任意整理を行った場合でも、M銀行またはその保証会社に高級時計を引き揚げられることはありません。
他方、ショッピングクレジットを利用して購入した場合、購入した商品の所有権は、立替金を完済するまでクレジット会社に留保されるのが通常です。
例えば、乙さんが30万円の骨董品のカメラをJ社のショッピングクレジットを利用して購入した場合、立替金を完済するまでカメラの所有権はJ社に留保されますので、例えば完済前にJ社を対象として任意整理を行った場合、カメラはJ社に引き揚げられることになります。
なお、クレジットカードのショッピング機能を利用して物品を購入した場合も、その物品の購入代金を完済するまでは、物品の所有権はクレジットカード会社に留保されるのが通常です。
クレジットカードの契約条項(約款)には、クレジットカード会社に所有権が留保される旨が記載されています。
3 所有権が留保されるとは
所有権がクレジット会社に留保されるということを端的に説明すると、「立替金を完済するまでは他人の物」ということです。
他人の物を勝手に処分すれば犯罪(横領罪)になることは誰でも分かっていると思いますが、クレジットで購入した商品については、完済前に売却してしまっている方も少なくありません。
消費者の方がクレジットで購入する商品は、高くても数十万円程度ですので、実務上、クレジット会社が横領罪で告訴するということはまずありませんが、告訴されれば刑事事件となりますので、十分注意が必要です。
4 役務の場合
では、対価を支払って何らかのサービスを受けた場合はどうでしょうか。
例えばクレジットを利用して整形手術を受ける場合、物品を購入するのとは異なりますので、所有権留保に相当する取り決めはありません。
クレジットを利用して50万円で一重瞼を二重にする手術を受けた後、そのクレジット会社を対象として任意整理を行った場合でも、二重から一重に戻されることはありません。
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