「債務整理」に関するお役立ち情報
軽自動車と所有権留保
1 権利と登記・登録制度
例えば、土地や建物などの不動産について、登記制度というものがあることは広く知られていると思います。
ある不動産の所有者に対し1000万円を貸し付け、その不動産に抵当権を設定する契約をしたものの、その抵当権の設定登記をしていなければ、後日その不動産を差し押さえた他の債権者に対し、抵当権の優先権を主張することはできません。
また、普通自動車や小型自動車について登録制度があることも広く知られていると思います。
Aが所有する高級車をBが購入したものの、登録名義をAのままにしておいた場合、その後Aからその高級車を購入し、登録名義も変更したCは、Bに対しその高級車の所有権を主張することができます。
このように、普通自動車や小型自動車について第三者に所有権を主張するためには登録が必要になりますので、自動車を割賦販売やクレジットで購入した場合、留保した所有権を主張するため、登録名義を販売店またはクレジット会社にします。
そのため、自動車ローンの残っている普通自動車や小型自動車を保有している方の債務整理相談では、その車検証を確認することになります。
2 軽自動車の場合
⑴ 「引渡し」が必要
軽自動車については、普通自動車や小型自動車に用意されているような登録制度はありません。
そのため、取得した所有権を第三者に主張できるようにするためには、通常の動産と同様、「引渡し」が必要になります。
なお、ここでの「引渡し」は民法が規定する法律用語で、日常的な意味とはズレがありますのでご注意ください。
Aから軽自動車を購入したBは、「引渡し」を受けておけば、その後Aから同じ軽自動車を購入したCに対し、所有権を主張することができます(なお、このようなケースで一定の場合にCを保護する「即時取得」という制度もあります)。
⑵ 占有改定による引渡し
軽自動車を割賦販売やクレジットで購入する場合、販売店やクレジット会社が留保した所有権を第三者に主張するためには、「占有改定による引渡し」を受ける必要があります。
この「占有改定による引渡し」が行われたか否かは、割賦販売契約書やクレジットの契約書の契約約款を見なければわかりません。
そのため、自動車ローンの残っている軽自動車を保有する方の債務整理相談では、車検証のほか、割賦販売契約書やクレジット契約書を確認することとなります。