「任意整理」に関するQ&A
知人からの借金について任意整理はできますか?
1 債務整理の手段としての任意整理を行うことは困難
知人からの借金について、債務整理の手段としての任意整理を行うことは困難です。
任意整理は、個人の方の債務整理の手段の一つとして定着しており、その弁護士費用も1社あたり数万円から5万円程度になっています。
このような低廉な費用になっている理由としては、次の二つの理由が挙げられます。
まず、任意整理についての業界の慣行が確立されているという点が挙げられます。
任意整理は、返済条件の変更の合意を目的とする交渉事件となりますが、返済条件の変更の内容について、例えば返済回数は36回から60回程度が目安となるなど、業界の慣行が確立されています。
もちろん業者によって変更内容は異なりますが、例えば、A社は60回までが限界であるなど、業者毎に変更内容の大まかな方向性は確立されています。
そのため、交渉に要する時間や手間も一般の交渉事件と比べて類型的に少なくなりますので、費用も低廉にすることが可能になります。
もう一つの理由は、過払い金の存在です。
今はそれほど当てはまらなくなりましたが、以前は、複数の消費者金融やクレジットカード会社から借り入れがある場合、そのうちの一つまたは複数の借り入れが過払いになっていることが多く、その過払い金を回収した際の報酬が期待できたため、任意整理そのものについては費用を低廉にすることができました。
上記の理由が当てはまるのは、民間の貸金業者(銀行、消費者金融等)からの借り入れやクレジットカード会社の負債となります。
ただし、一部の消費者金融(主にいわゆるブラックでも貸付けを受けられる業者)や保証会社、債権回収会社は任意整理の交渉が困難なことがあります。
知人の方からの借り入れについても、費用面の問題から任意整理として債務整理を行うことは困難です。
2 知人の方からの借り入れについて弁護士に依頼したい場合の方法
知人の方からの借り入れについて、弁護士に依頼して処理したいという場合、以下の方法があります。
まず、通常の交渉事件として弁護士に依頼する方法です。
ただし、この方法は一般の交渉事件と同程度の費用がかかりますので、返済が厳しくなったことが理由の場合は、弁護士費用を捻出するのが難しいと思われます。
もう一つは、自己破産手続です。
参考リンク:裁判所・破産手続,個人債務者の民事再生手続,特定調停手続とはどのような違いがありますか。
自己破産の場合、債権者と個別に交渉をすることはないですので、知人が債権者に含まれていたとしても、それを理由として費用が通常よりも格段に高くなることはありません。
なお、その知人が反社会的団体に所属している場合など、自己破産の場合でもある程度の対応が想定されるようなケースでは、債権者が通常の金融業者のみの場合と比べ、費用が高くなることがあります。
借金がすべて1~2年の取引しかない場合には任意整理をする意味はありませんか? 退職したため現在無職ですが、任意整理の依頼は可能でしょうか?