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「自己破産」に関するQ&A

自己破産をした場合、賃貸借契約はどうなりますか?

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2023年5月11日

1 自己破産と賃貸借契約

自己破産をする方、つまり破産者と賃貸借契約の関係については、大きく、破産者が賃貸人の場合と賃借人の場合に区別することができます。

ただ、破産事件の大部分を占める消費者の方の破産の場合、不動産物件を賃貸しているということはほとんど無く、問題となるのは賃貸物件に居住している場合ですので、ここでは、自己破産した場合に居住している自宅の賃貸借契約がどうなるのかについてご説明します。

2 平成16年改正前民法621条

平成16年に改正される前の民法621条は、「賃借人が破産の宣告を受けたるときは賃貸借に期間の定めあるときといえども賃貸人又は破産管財人は第617条の規定によりて解約の申入をなすことを得」ると規定していました。

破産宣告とは、裁判所による破産手続開始決定のことですが、この条文が生きていた頃は、賃借人について破産手続が開始した場合は、賃貸人は賃貸借契約を解約することができました。

しかし、これでは賃借人の立場が不当に害されることとなるため、この条文は平成16年に削除されました。

つまり、破産手続が開始しても、法律の規定に基づいて賃貸人から賃貸借契約が解約されることは無くなったのです。

3 特約があっても無効

それでは、賃貸借契約に、破産申立てを行った場合は賃貸借契約を解約することができる旨の特約がある場合はどうなるのでしょうか。

この点、このような条項は、賃貸人による解約を制限する借地借家法の趣旨に反し、賃借人に不利な内容であるから、無効であると考えられています。

そのため、破産申立てを行った場合は賃貸借契約を解約することができる旨の特約があったとしても、破産申立てにより自宅の賃貸借契約が解約されることはありません。

4 他の理由がある場合は別

以上のとおり、破産申立てまたは破産手続開始決定を理由として自宅の賃貸借契約が解約されることはありませんが、他の理由により解約されることはあります。

例えば、賃料を3か月程度延滞していると、通常、賃貸人との間の信頼関係を破壊したといえますので、賃料支払債務の不履行により賃貸借契約が解除されることはあり得ます。

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