交通事故によるケガのために通院中に通院先を変えることはできますか?
1 通院先の変更は可能だがいくつか注意点がある
通院先の変更について、最初に搬送された大きな病院から自宅や職場近くの病院に移る場合、転居などのためやむを得ず変更する場合、主治医との相性がよくないなどの理由により、通院先を変更したいと考える場面があると思います。
このような際には、通院先を変更することが可能です。
ただし、もとの主治医からの紹介状を取得することや、保険会社への連絡をして承諾を得ることなどの注意点があります。
以下では、その注意点等についてご説明しますので、通院先を変更する際にご留意いただければと思います。
2 むやみに通院先を変えることは避ける
前提として知っておきたいことは、基本的にはできる限り同一の医療機関に通うことが望ましいということです。
交通事故の治療はすぐに終了する場合もありますが、多くの場合は数か月以上の期間を経て治療終了となるのが一般的です。
この間、主治医としては、症状の変化を見極めながら対応していくことになります。
しかし、途中で通院先を変えてしまうと、新たな医師は従前の被害者の状況について把握していないため、適切な治療をすることができない場合があります。
このため、入院先からリハビリのための病院に転院する場合など、病院間の役割分担に応じて転院する場合は別として、むやみに通院先を変更することは避けたほうが望ましいといえます。
3 やむを得ず転院する場合の注意点
それでも、やむを得ない理由により転院する場合は、次の2点を守るようにしてください。
⑴ 前医からの紹介状をもらう
前医からの紹介状があれば、限られた範囲ではありますが、次の医師が従前の状況について把握した上で、その後の治療を行うことができます。
一方、紹介状が無い場合には従前の状況が分からないため、適切な治療をすることができなくなってしまう可能性があります。
このため、転院する際には必ず転院前の主治医から紹介状を貰うようにしてください。
⑵ 保険会社に連絡して同意を得る
事故後、事故の相手方の保険会社から医療費を支払ってもらいながら通院している場合、保険会社への連絡と同意を得ないで通院先を変えてしまうと、新たな通院先での治療費について保険会社からの支払いを受けることができなくなります。
医療機関および保険会社は、事故によるケガの治療のための通院であることを確認した上で、治療費の請求や支払いを行います。
もし、通院先変更の連絡がなかった場合には、医療機関と保険会社との連絡ができなくなるため、保険会社から医療機関への支払いができなくなってしまいますので注意が必要です。
一般的には、事故の被害者が保険会社に通院先を伝えると、保険会社が通院先に連絡し、上記の確認と治療費の支払いがされることになります。
また、被害者から保険会社に対し、新たな医療機関に対する同意書(診療情報について、保険会社が医療機関に照会することについての同意書)を提出することも必要となります。
同意書は、保険会社の指示に従って提出してください。
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