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弁護士法人心 千葉法律事務所

交通事故のケガが原因で会社を退職した場合、休業損害は認められないのでしょうか?

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2024年7月16日

1 退職後の休業損害

休業損害は、給与所得者の場合、受傷によって休業したことによる現実の収入減、または有給休暇の消化分についてのみ認められるのが原則です。

ただし、ごく例外的ではありますが、裁判において退職した場合でも休業損害が認められた事例はあります。

「この要件に当てはまれば必ず休業損害が認められる」というものではなく、個々の事例に応じて判断がなされますが、退職した場合の休業損害が認められたケースは、少なくとも以下の要件を満たしているものが多いようです。

・退職したのが症状固定または治癒前

・退職と事故との因果関係がある

・休業が必要だった期間を立証できる

それぞれの要件についてご説明します。

2 退職したのが症状固定または治癒前であること

交通事故によって負ったケガについて、治療やリハビリを継続した結果「これ以上症状の改善が見込めない」状態になることを「症状固定」といいます。

休業損害は、症状固定までしか支払われないのが原則です。

症状固定になった時点で残った後遺症が、自賠責で「後遺障害」と認定された場合は、「後遺障害慰謝料」または「逸失利益」として相手方に賠償請求を行うこととなります。

交通事故の後遺障害について、詳しくはこちらをご覧ください。

3 退職と事故との因果関係

退職後についても休業損害の請求が認められるためには、退職が交通事故を原因とするものであると立証されなければなりません。

例えば、指先を使う繊細な作業を必要とする業務に従事する方が、受傷により腕や指にしびれが出てその作業ができなくなり、退職したといった場合などが挙げられます。

そして、これを立証するためには、例えば、会社から退職証明書をもらい、退職の理由として交通事故によるケガが原因となって退職させざるを得なかったという事情を書いてもらう等する必要があります。

4 休業が必要だった期間の立証

交通事故によるケガが原因で退職したとして、どの程度の期間について休業損害が認められるかについては、別途立証を行う必要があります。

もし、退職後、働ける状態まで回復していたにもかかわらず働いていなかったのであれば、それは休業損害として認定されることは難しいといえます。

したがって、退職後の休業損害が認められるのは、症状固定までの期間のうち、交通事故によるケガが原因で働けなかったといえる期間、または再度就職先を得るために必要だった期間に限られることになります。

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