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弁護士法人心 千葉法律事務所

主婦(主夫)でも個人再生はできますか?

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2023年7月26日

1 民事再生法の規定

小規模個人再生手続の開始要件等について規定する民事再生法第221条は、その第1項で、「個人である債務者のうち、将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり、かつ、再生債権の総額(住宅資金貸付債権の額、別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権の額及び再生手続開始前の罰金等の額を除く。)が五千万円を超えないものは、この節に規定する特則の適用を受ける再生手続(以下「小規模個人再生」という。)を行うことを求めることができる。」と規定しています。

つまり、小規模個人再生手続を行うには、「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みが」なければならないということになります。

2 主婦(主夫)が個人再生を選択するケース

主婦(主夫)が小規模個人再生手続きを検討する場合、返済原資はもっぱら配偶者の収入になると思われます。

また、自己破産手続であれば主婦(主夫)でも問題なく行うことができるところ(返済原資不足等の点で任意整理での解決は困難であることが前提です)、あえて個人再生を選択するのは、①自己破産手続で換価処分されると困る財産がある(公共交通が不便な場所に住んでいる場合の自動車など)、②住宅ローンがある(働いていたときに住宅ローンを組んだが、その後主婦ないし主夫になったというケース)または③重大な免責不許可事由があり、自己破産手続では免責が見込めない、という3つのケースが考えられます。

ただ、いずれのケースも例外的であると思われます。

3 収入がないと個人再生は難しい

民事再生法は、「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり」と明確に規定していますので、収入のない主婦(主夫)は、仮に配偶者に十分な収入があったとしても、小規模個人再生を利用することはできないと考えられています。

ただ、上記2のとおり、主婦(主夫)が個人再生を行う必要があるというのは極めて例外的なケースです。

本稿の執筆者もそのような相談を受けたことはなく、当然ながら主婦(主夫)について個人再生の申立てを行ったことはありません。

例えば、配偶者から長期間継続的に毎月生活費等として30万円受領しているような場合で、振込のため通帳の記載から受領が明らかなケースでも、「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みが」ないとなるのかどうかについては、検討の余地はあるのではないかと思います。

なお、主婦ないし主夫の方がどうしても個人再生を行う必要がある場合は、アルバイトやパートをして一定金額の収入を得られるようにしておくとよいでしょう。

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