交通事故に遭ったあと休業損害はいつもらうことができますか?
1 任意保険会社が内払いに応じる場合
任意保険会社が休業損害の内払いに応じる場合には、不備がなければ、必要書類を任意保険会社に提出してから、3日~2週間程度で支払われることが多いです。
給与所得者の場合には、所定様式の休業損害証明書(勤務先が作成する休業を証明する書類)、事故前年度の源泉徴収票が必要書類として要求されることが一般的です。
個人事業主の場合には、事故前年度の確定申告書、場合によってはご自身で作成する休業損害証明書、を要求されることが一般的です。
2 任意保険会社が内払いに応じない場合
⑴ 被害者請求
任意保険会社が内払いに応じない場合には、相手方の自賠責保険に対する被害者請求(治療費や通院交通費、休業損害や慰謝料などを請求する制度)を行うことが考えられます。
もっとも、被害者請求は、必要書類(自賠責様式の診断書など)を集めることに時間を要してしまい、かつ、審査も1~2か月程度要することが多いため、速やかに支払いを受けられるものではないことに注意が必要です。
また、自賠責保険の上限額は傷害分(治療費や通院交通費、休業損害や慰謝料など)の合計で120万円になりますので、上限を超えている事案では、あまり有効な手段とならない可能性があります。
事故が軽微である場合には、被害者請求を行っても、治療費等が支払われないこともあるので、被害者請求を行う前には、交通事故に詳しい弁護士に相談することがオススメです。
⑵ 裁判など
任意保険が支払いに応じない場合で、被害者請求も有効でないときには、訴訟提起や調停申立、紛争処理センターへの申立などが考えられます。
訴訟は、事案の内容などにもよりますが、概ね3か月~1年程度要することが多いため、速やかな支払いを受けられるものではないことに注意が必要です。
紛争処理センターへの申立の場合には、事案の内容などにもよりますが、概ね3か月~6か月程度で解決まで至ることが多いです。
3 任意保険から提案される休業損害の金額に注意
給与所得者の休業損害について、任意保険会社が、事故前3か月の給与を90日で割った日額を基準に、休業した日数を乗じた金額で提案されることがあります。
連続して休業している場合には、事故前3か月の給与を90日で割った日額を基準に、連続休業した期間を乗じた金額で計算することが考えられ、上記の任意保険会社の提案では、勤務予定日の日数のみ計算に含めているため、相場より低額である可能性が高いです。
また、連続して休業をしていない場合(飛び石のような形で休業している場合)には、基本的には、事故前3か月の給与を勤務日で割った日額を基準に、休業した日数を乗じた金額が妥当である可能性が高いため、上記の任意保険会社の提案では、事故前3か月の給与を90日で割っていることから、相場より低額である可能性が高いです。
その他、個人事業主や主婦の休業損害についても、任意保険会社からの提案金額が相場より低額であることがありますので、遅くとも、示談前には交通事故に詳しい弁護士に相談することがオススメです。
交通事故の示談成立前に賠償金を支払ってもらうことはできるのでしょうか? 後遺障害等級が認められたときの損害はどのようになりますか?