交通事故における弁護士基準での慰謝料
1 保険会社から提案される示談金
保険会社から提案された示談金は、自賠責基準や任意保険基準といった基準で提案されることがほとんどであり、これらの基準は相場より低いことが多いです。
本来は、弁護士基準(裁判所基準)で計算されるべきであるにもかかわらず、自賠責基準や任意保険基準で計算された低額な示談金で示談してしまった場合、基本的には、後々、示談金の金額を争うことはできなくなります。
そのため、示談前に弁護士に相談することが大切であるといえます。
以下では、弁護士基準(裁判基準)の慰謝料についてご説明します。
2 傷害慰謝料
傷害慰謝料は、傷病名や通院期間や入院期間、場合によっては治療日数によって異なります。
⑴ むち打ち症で他覚所見がない場合等
むち打ち症で他覚所見がない場合等は、入通院期間を基礎として別表Ⅱに基づき計算します。
もっとも、通院が長期にわたる場合は、症状、治療内容、通院頻度を踏まえて実通院日数の3倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることもあります(民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準)。
例えば、通院期間を基礎に計算すると、通院期間30日は19万円、通院期間90日は53万円、通院期間180日は89万円になります。
⑵ 上記以外の骨折などの傷病
また、むち打ち症で他覚所見がない場合等以外の骨折などの傷病については、入通院期間を基礎として別表Ⅰに基づき計算します。
通院が長期にわたる場合は、症状、治療内容、通院頻度を踏まえて実通院日数の3.5倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることもあります(民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準)。
例えば、通院期間を基礎に計算すると、通院期間30日は28万円、通院期間90日は73万円、通院期間180日は116万円になります。
3 後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料の金額は、その等級によって異なります。
具体的には、以下が慰謝料の目安とされています(民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準)。
- 1級 2800万円
- 2級 2370万円
- 3級 1990万円
- 4級 1670万円
- 5級 1400万円
- 6級 1180万円
- 7級 1000万円
- 8級 830万円
- 9級 690万円
- 10級 550万円
- 11級 420万円
- 12級 290万円
- 13級 180万円
- 14級 110万円
これに対して、令和2年4月1日以降の事故の自賠責基準の後遺障害慰謝料は、以下のとおりとなります。
- 1級 1650万円または1150万円
- 2級 1203万円または998万円
- 3級 861万円
- 4級 737万円
- 5級 618万円
- 6級 512万円
- 7級 419万円
- 8級 331万円
- 9級 249万円
- 10級 190万円
- 11級 136万円
- 12級 94万円
- 13級 57万円
- 14級 32万円
4 死亡慰謝料
被害者が一家の支柱である場合は2800万円、母親や配偶者の場合は2500万円、その他の方の場合は2000万円~2500万円が目安とされています(民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準)。
これに対して、令和2年4月1日以降の事故の自賠責基準の死亡慰謝料は、本人分が400万円、遺族分として請求権者1名の場合は本人慰謝料に加えて550万円、請求権者2名の場合は本人慰謝料に加えて650万円、請求権者3名以上の場合は本人慰謝料に加えて750万円、その他被害者に被扶養者がいる場合は上記金額に200万円が加算されます。
3 弁護士に相談を
後遺障害慰謝料や死亡慰謝料の例を見ていただいても分かるとおり、弁護士基準と自賠責基準では目安の金額に差があります。
傷害慰謝料の基準ごとの慰謝料の額の例についてはこちらもご覧ください。
保険会社からの示談金の提案は低額であることも多いので、お悩みの方は弁護士法人心 千葉法律事務所にご相談ください。
交通事故案件を得意とする弁護士が、適切な賠償金の獲得に向けて対応させていただきます。