高次脳機能障害の後遺障害等級にはどのようなものがありますか?
1 高次脳機能障害の後遺障害の等級
高次脳機能障害の後遺障害の等級として想定されるものは、1〜3級、5級、7級、9級などがあります。
1級は「神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」(1級1号)、2級は「神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの」(2級1号)、3級は「神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの」(3級3号)、5級は「神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」(5級2号)、7級は「神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」(7級4号)、9級は「神経系統の機能または精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」(9級10号)、となります。
2 高次脳機能障害の後遺障害認定の審査基準とは
高次脳機能障害の後遺障害認定は、①意識障害の有無及びその程度、②脳損傷の画像所見の有無及びその程度、③高次脳機能障害による症状の程度、により後遺障害の等級が判断されます。
①意識障害の有無及びその程度については、主に医師が作成する「頭部外傷後の意識障害についての所見」を基に判断されますが、その他にも、緊急搬送時の記録や診療録などを基に判断されることもあります。
意識障害が無い場合には、基本的には、高次脳機能障害による後遺障害は認められません。
②脳損傷の画像所見の有無及びその程度については、病院で撮影されたMRI画像などを基に判断されます。
脳損傷の画像所見が無い場合には、基本的には、高次脳機能障害による後遺障害は認められません。
③高次脳機能障害による症状の程度については、主に医師が作成する「神経系統の障害に関する医学的意見」やご家族の方などが作成する「日常生活状況報告」などを基に判断されます。
3 神経系統の障害に関する医学的意見と日常生活状況報告の記載内容に注意
事故前の被害者の日常生活状況を把握していない医師が神経系統の障害に関する医学的意見を作成する場合には、事故前の日常生活状況と事故後の日常生活状況の差異が適切に伝わっていないことにより、実際の症状より軽い内容の「神経系統の障害に関する医学的意見」となってしまい、適切な等級が認定されないことがあります。
また、ご家族の方が「日常生活状況報告」の記載の仕方が分からず、実際の症状より軽く記載してしまい、適切な等級が認定されないことがあります。
適切な等級を獲得するためにも、書類を作成する前に、交通事故に詳しい弁護士に相談することが大切です。
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