交通事故における治療費と過失割合について
1 交通事故の過失割合
交通事故が発生した場合、事故当事者のそれぞれに、交通違反や不注意の責任がどれくらいあるのかを判断することになります。
この責任の割合のことを過失割合といいます。
過失割合は、一方にすべての過失があり他方に過失がない場合は「0:100」、双方の過失割合が等しい場合は「50:50」のように、比率で表されるのが一般的です。
過失割合は、事故の発生場所、発生状況、当事者の状況などによって、一定程度類型化されており、それぞれの状況に応じた目安があります。
実務上は、東京地裁民事交通訴訟研究会編『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準』(別冊判例タイムズ38号)を参照するのが一般的です。
例えば、赤信号で停止している車両に、後続から走行してきた車両が追突したような場合、基本過失割合は「0:100」、つまり、衝突した車両にすべての過失があるとされています。
2 示談金額と過失割合の関係
交通事故による示談金額の計算は、通常、治療が終了した後に行われます。
示談金額は、治療費や慰謝料などを合計した金額から、過失割合に応じた金額を減額し、その金額から治療費などの既払い金を差し引いて計算します。
3 治療費と過失割合によって最終受取金額が変わる
交通事故の被害で、最終的に示談金として受け取れる金額は、治療費の総額と過失割合によって変わってきます。
以下、自由診療による治療費が1回1万円、月に10回通院し、通院期間が180日、実治療日数が60日の場合を例に説明します。
⑴過失割合が0:100の場合
①自賠責基準
治療費60万円+慰謝料51万6000円(4300円×120日)=111万6000円
→治療費を除いた最終受取金額51万6000円
②裁判所・弁護士基準
治療費60万円+慰謝料89万円=149万円
→治療費を除いた最終受取金額89万円
⑵過失割合が30:70の場合
①自賠責基準
治療費60万円+慰謝料51万6000円(4300円×120日)=111万6000円
→治療費を除いた最終受取金額51万6000円
②裁判所・弁護士基準(自由診療の場合)
治療費60万円+慰謝料89万円-44万7000円(過失割合に応じた減額)=104万3000円
→治療費を除いた最終受取金額44万3000円
③裁判所・弁護士基準(健康保険利用の場合)
治療費18万円(60万円の3割負担)+慰謝料89万円-32万1000円(過失割りに応じた減額)=74万9000円
→治療費を除いた最終受取金額56万9000円
以上のとおり、交通事故の被害に遭い、自身の過失割合が大きい場合には、状況によっては、健康保険を利用した方が最終受取金額が大きくなることもあります。
4 交通事故のご相談は当法人へ
当法人は、交通事故担当チームを設け、これまで様々な交通事故案件を解決しており、多くの知識やノウハウを持っています。
千葉にお住まいで、交通事故の過失割合についてお困りの方も、どうぞ当法人までご相談ください。
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