Q&A
過払い金返還請求にデメリットはありますか?
1 対象業者に対する負債がある場合
過払いとなる金銭消費貸借について約定残債務がある場合(例えば現時点で30万円の債務があるものの、利息制限法の上限利率で計算し直すと30万円の債務が消滅し過払いになっている場合)や、ショッピングなど過払いとは関係ない負債がある場合(例えばショッピングで50万円の負債があり、他方キャッシングでは80万円の過払がある場合は、差し引き30万円の返還を受けることになります)、過払い金返還請求をするためにこれらの負債の返済をストップすることになりますので、信用情報にいったん延滞の情報が登録されることになります(ただしこの点についての対応は業者により区々のようで、登録しない業者もあるようです)。
そうなると、過払いとは関係ない業者のクレジットカードを利用している場合、クレジットカード会社は定期的に信用情報を確認していることがありますので、延滞情報を確認したクレジットカード会社はカードの新規利用を止めてしまうかもしれません。
過払い金返還請求をする対象業者に対して負債がある場合は、このようなデメリットの発生が考えられます。
2 共通のデメリット
過払い金返還請求を行う対象業者に負債がないケースも含めたデメリットとして考えられるのは以下のとおりです。
① 過払い金返還請求を行うことにより対象業者から借り入れができなくなり、また対象業者クレジットカードが使えなくなる。
なお、過払い金返還請求の手続きが終了した後に、対象業者が新規貸付やクレジットカードの発行を行うかどうかは当該業者次第ですが、本稿の執筆者は、債務整理の案件で、一度過払い金を請求した業者から再度借り入れをしていたというケースを複数回扱っています。
② 家族に借り入れをしていたことが知られるかもしれない。
家族に秘密で消費者金融から借入れをしていて、無事完済していたとしても、返還された過払い金によって借金が知られてしまうことはあり得ます。
過払い金が100万円を超えることも珍しくはなく、そうなると、依頼した弁護士事務所から銀行口座に高額のお金が振り込まれることになるからです。
③罪悪感に苛まれる。
お金を借り、それを契約内容にしたがって返済していただけなのに、お金を一部返してもらえることについて倫理的に問題を感じている方もまれにいらっしゃいます。
これは価値観の問題と言えます。
なお、過払い金の返還を請求できるのは、契約で定めた利率について、利息制限法の上限利率を超える部分が法律上無効になるからです。
以上の①から③は、一般的には、デメリットとしては小さいですので、考慮すべきデメリットは負債が残っている場合の信用情報ということになります。
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