Q&A
アイフル株式会社の過払い金への対応について教えてください
1 大手消費者金融・アイフル株式会社
アイフル株式会社は、1978年2月に設立された(設立当時の社名は「株式会社丸高」)消費者金融会社で、2023年3月期は、SMBCコンシューマーファイナンス株式会社(プロミス)、アコム株式会社に次ぐ第3位の営業収益を上げています(ただし、レイクを展開する新生フィナンシャル株式会社は業績を公表していません)。
アコムは2008年12月に三菱UFJフィナンシャルグループの連結子会社となり、SMBCコンシューマーファイナンスは2011年12月に三井住友フィナンシャルグループの連結子会社となることで、過払い金返還請求の増加による業績悪化を乗り越えましたが、アイフルは現在でもそのような大手金融グループには属しない独立系の消費者金融会社で、後述のように事業再生ADRを行うことで業績悪化を克服しました。
ただ、独立系ではあるものの、アイフルは銀行の貸し付けについての保証業務も取り扱っていますので、例えば千葉県内では、千葉興業銀行のカードローン等について、保証会社として名前が出てくることがあります。
アイフルは、過払い金返還請求の激増による経営難のため、2009年に私的整理の一種である事業再生ADRの申請を行い、同年12月24日に行われた第3回債権者集会ですべての取引金融機関の承認を得て成立しました。
そして、2015年には、銀行団から返済を猶予されていた融資金527億円を8月25日に前倒しで完済しています。
2 これまでのアイフルの過払い金への対応
アイフルを含む大手業者は、過払い金返還請求が本格化する2006年頃までは、比較的過払い金の返還請求への対応はよかったですが、過払い金返還請求が本格化したことで厳しくなり、アイフルについても、とくに事業再生ADRの申請を行った2009年(この年に業者の過払い金返還額はピークを迎えます)以降、十分な金額での和解は極めて困難となりました。
そのため、同社から十分な金額の過払い金を回収するためには判決を取得することが必要不可欠となり、しかも、第一審判決に対してアイフルは控訴を行うことが多くありましたので、回収が完了までにかなりの時間が必要になっていました(なお、アイフルは判決には従っており、一部の中小の消費者金融のように判決が出ても無視して払わないということはありません)。
現在は、アイフルは経営危機を脱していますが、過払い金返還請求に対するアイフルの対応が好転したという印象はあまりありません。
ただ、貸付停止措置を起算点とした消滅時効などの実質的な争点がない事案で時間稼ぎの控訴をすることは減少しており、また、判決前にある程度納得のいく金額で和解できる事案も出てきています。
3 現在のアイフルの過払い金への対応
現在の過払い金返還請求訴訟で一つの争点となっているのは貸付停止措置を執った時点を起算点とする消滅時効の主張になりますが、アイフルも、この争点について積極的に主張するようになりました。
また、アイフルとの訴訟の場合、これまでは同社の支配人が対応することがほとんどでしたが、この争点を主張するケースでは、弁護士を代理人に立てることも多くなっています。
多くの貸金業者は、総量規制の導入に対応するため、総量規制が施行される前に一定の条件を満たす顧客について貸付停止措置を執り始めましたが、アイフルも、2010年頃に、一定条件を満たす顧客について貸付停止措置(=借入限度額をゼロにすること)を執っています。アイフルに対する過払い金債権者は、その多くがこの一定条件を満たしており、貸付停止措置を受けています。
この争点については、アイフルの主張を認める高裁判例も現れてきており、消滅時効の問題ですので、アイフルに対する過払い金の請求は速やかに行う必要があります。
過払い金を請求するとカードが使えなくなるのですか? 以前に借り換えをしているのですが、過払い金の返還請求をすることはできますか?