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約定利率が低いケース

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2024年2月28日

1 約定利率の引き下げ

利息制限法が規定する上限利率を超える貸付利率で貸付けを行っていた消費者金融会社やクレジットカード会社は、上限利率を超える利率での貸付を適法としていたみなし弁済制度を廃止する内容の法律が2018年12月に公布されたため(施行は2010年6月)、2007年~2008年頃までには、新規契約者に対する貸付利率を利息制限法の上限利率以下に下げました。

参考リンク:日本貸金業協会・上限金利について

しかし、利息制限法の上限利率を超える利率で貸し付けを行っていた業者について、当該業者が新規契約者の貸付利率を利息制限法の上限利率以下に引き下げる前であっても、貸付利率が利息制限法の上限利率以下になっているケースがあります。

2 消費者金融の場合

例えば、消費者金融会社であるA社は、2007年6月に新規契約者に対する貸付けの利率を利息制限法の上限利率以下に引き下げましたが、A社が新規契約者の貸付利率を引き下げる前から借り入れをしている場合でも、2007年6月より前に貸付利率が利息制限法の上限利率以下になっているケースがありました。

このケースでは、当初は利息制限法の上限利率を超える金利での貸付でしたが、いったん完済してしばらく経った後、基本契約の変更契約を締結した際に利率が利息制限法の上限利率以下の金利になっていました。

このような取り扱いがなされた理由として考えられるのは、債務者の経済的信用性が高く、銀行での借り入れも可能な程度の収入があるため(銀行による貸し付けは利息制限法の上限利率以下の金利になります)、A社からの借り入れを継続してもらうために貸付利率を下げた、というものです。

貸金業者は、お金を貸し、その利息を受け取ることで利益を上げることができます。

お金を借りてくれなければ、そもそも利益が出ないわけです。

もちろんこのようなケースでも、契約当初の貸付利率は利息制限法の上限利率を上回っていますので、過払い金は発生し得ますが、利息制限法の上限利率を超える金利での取引期間が短いと(または取引期間が比較的長くても借入限度額が10万円~20万円というように少ないと)、発生する過払い金も一般的に少なくなります。

また、利息制限法の上限利率以下の利率に下がってから借入残高を急激に増やし、かつ完済しておらず相当金額の約定残債務が残っている場合は、取引期間が10年以上の長期に渡っていても、過払いになっていないことがあります。

3 クレジットカード会社の場合

クレジットカード会社の場合は、例えば昭和や平成初期の時代に契約したクレジットカードの場合でも、当初から利息制限法の上限利率以下での借り入れだった、ということがあります。

例えば、ある大手クレジットカード会社(ジェーシービー)は、返済方式の違い(1回払いORリボ払い)によって利率を変えており、一方の返済方法では利息制限法の上限利率を超えているものの、もう一方では超えていないということがありました。

また、2つのクレジットカード会社が合併してできた大手クレジットカード会社(クレディセゾン)では、一方の会社のカードキャッシングは利息制限法の上限利率内で、もう一方の会社のカードキャッシングは利息制限法の上限利率を超えていましたので、利用していたカードの種類によって過払い金の発生の有無が違ってくることになります。

そのため、当該クレジットカード会社について過払い金の相談を受ける場合は、どの種類のカードを使っていたのかについて確認させていただくことになります。

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