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過払い金返還請求で訴訟をする場合のリスク
1 過払い金返還請求でなぜ訴訟をするのか
過払い金返還請求では、訴訟を提起して解決を目指すことも多くあります。
訴訟と聞くと躊躇される方もいらっしゃるかもしれませんが、過払い金返還請求の場合、訴訟を行うのは主に以下の2つの理由によります。
① 訴訟をしないと十分な金額が返還されない。
② 争点があり、訴訟前の交渉での解決が困難である。
多くの業者は、訴訟をする場合としない場合で和解の基準を変えています。
例えば、過払い金の元金が150万円、利息が30万円のケースで、訴訟を行えば180万円に近い金額で和解できる場合でも、訴訟を行わないと120万円程度(元金の8割)での和解になることがあります。
そのため、訴訟を行っているケースの大半は、①が理由となります。
2 訴訟のリスク(①の場合)
上記①を理由として訴訟を提起した場合でも、争点が全くないということはありません。
例えば、悪意の受益者(過払い金に利息を付す根拠)については、どの訴訟においても形式的には争点にはなります。
ただ、悪意の受益者については最高裁判決も出ており、悪意の受益者を否定する「特段の事情」の立証は困難ですので、訴訟で本格的に争われることはありません。
そのため、形式的には争点があるものの、実質的にはない場合は、訴訟を提起したとしても大きなリスクはありません。
ただし、訴訟提起前には明らかになっていなかった争点(実質的に争われる争点)が存在する場合もありますので、その場合は敗訴または一部敗訴のリスク(または訴訟前の交渉で業者側が提示した金額よりも回収できる金額が低くなるリスク)が生じます。
また、実質的な争点がないケースでも、訴訟をする場合は、しない場合よりも一般的に解決までの期間は長くなります。
3 訴訟のリスク(②の場合)
例えば、請求側の計算では200万円の過払い金が発生しているものの、実質的な争点があり、その争点が認められた場合は、過払い金は50万円となるケースを想定します。
このケースで、訴訟前の交渉で業者側が100万円での解決を提案していたとしても、訴訟においてもその提案が維持されることはありません。
そのため、請求側が不利な場合、訴訟での和解が70万円になるようなこともあり、また敗訴すると回収できるのは50万円になります。
また、実質的な争点があるケースでは、解決までの期間が長期化する傾向があります。
訴訟をするかどうかは、依頼した弁護士のアドバイスも参考にしつつ、ご自身の資金需要等も考慮して判断するとよいでしょう。
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