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過払い金について裁判をした場合にかかる期間
1 過払い金について裁判(訴訟)をするケース
民事の金銭請求については、一般的には、まず請求相手と交渉し、まとまらない場合は訴訟を提起して解決することになります。
過払い金返還請求も民事の金銭請求ですので基本的には同じ流れになりますが、多くの業者は、訴訟をするかしないかによって和解の基準を変えているため(例えば、訴訟をしない場合は過払元金の8割程度、訴訟をする場合は過払元金全額に利息をプラスした金額、というような感じです)、より多くの金額を回収するためすぐに訴訟を提起することもあります。
他方、取引の分断等の実質的な争点があり、双方の主張の隔たりが大きく訴訟前の交渉でまとまらない場合は、訴訟を提起し、裁判所の判断にゆだねることになります。
この場合でも必ず判決になるというわけではなく、裁判所が争点についての心証(争点についての裁判官の認識)を開示した場合は、それに沿って和解をすることも少なくありません。
2 過払い金について訴訟をした場合にかかる期間
⑴ 回収金額を増やす目的での訴訟の場合
業者との取引期間がかなり長期間にわたる場合や、最終取引日から長期間が経過している場合は、過払元金から発生する利息も高額になり、場合によっては利息だけで100万円を超えることもあります。
仮に過払元金が300万円、業者への請求日までの利息が150万円の場合、当該業者が訴訟をしない場合の和解基準を過払元金の8割程度としている場合は、実質的な争点がない場合でも、240万円程度の金額でしか和解できないことになります。
このような場合は、訴訟を提起して450万円程度の回収を目指すことになりますが、このように実質的な争点がない訴訟の場合は、解決までの目安は6~8か月程度になります。
ただし、一部業者については訴訟を提起しても十分な金額での和解ができず、判決を取らなければならないため、このようなケースでは、解決まで8~10か月程度かかります(控訴された場合はさらに4~6か月程度の期間がかかります)。
⑵ 実質的な争点がある場合の訴訟
実質的な争点がある訴訟の場合は、争点がなく回収金額を増やすことが目的の訴訟に比べ、解決にかかるまでの期間は一般的に長くなります。
そのため、解決までの期間は10~12か月程度を見ておく必要があります。
ただし、裁判官によっては、早い段階で和解に誘導されることもあり、早期に和解が成立すれば、8か月程度で解決することもあり得ます。
判決での解決となり、控訴になった場合は、さらに5~7か月程度かかることになります。
実質的な争点がある場合は、ない場合と比べ、控訴審でかかる期間も多少長くなる印象です。
なお、以上で述べた期間は、本稿執筆者が過去に担当した訴訟の印象(統計ではありません)によるものですので、あくまで目安として参考にしてください。