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過払金の利息と民法改正
1 過払金の利息
今回は、過払金に付される利息と民法改正についてご説明します。
まず、発生した過払金について、消費者金融会社やクレジットカード会社は、法律上、悪意の受益者として利息を付して返還しなければならないことについては、裁判例においてほぼ固まっており、例外が認められることはまずありません。
過払金返還請求訴訟においても、消費者金融会社等は、現在でも形だけ悪意の受益者について争いますが、例外が認められるための証拠を提出することはまずありません。
2 任意整理と過払い利息
クレジットカード会社の場合、キャッシングまたはカードローンのほかにショッピングも扱っていますが、ショッピングについては、過払いはありません。
キャッシングについては過払いになっているものの、ショッピングの残高が過払金額を超えている場合は、ショッピングの残高からキャッシングの過払金を控除した残額を返済していくことになりますが、この際、クレジットカード会社は、通常、過払金について利息を付さない計算による金額の控除を求めてきます。
3 過払い利息の利率
民法改正により、令和2年4月1日から法定利率が3%になりましたが、令和2年3月31日までに発生している過払金については、改正前の利率である5%が適用されます。
参考リンク:法務省・民法の一部を改正する法律(債権法改正)について
また、令和2年4月1日以降に初めて過払金が発生した場合は(事案としてはレアケースですが)、改正後の利率である3%が適用されます。
令和2年3月31日までに過払金が発生しており、令和2年4月1日以降も返済を継続して過払金が増額した場合、令和2年3月31日までに発生した過払金については5%、令和2年4月1日以降に発生した過払金については3%の利率が適用されることになると考えられますが、令和2年3月31日までに過払金が発生している場合はすべて5%が適用されるという考え方もあります。
令和2年4月1日以降に追加の借り入れを行い、それによって過払金元金が減少している場合は、改正法施行の前後で適用する利率を変えると計算がややこしくなります。
改正法は施行されたばかりで、まだ裁判例も固まっていませんので、過払金を請求する側としては、当面、令和2年3月31日までに過払金が発生しているケースではすべて5%の適用を求めて提訴することになるでしょう。