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自動車ローンと過払い金
1 過払い金とは
過払い金とは、一般的には払い過ぎたお金ということですが、債務整理の分野では、利息制限法の上限利率を超える利率で借り入れをしていた場合に、支払った利息のうちその上限利率を超える部分を指します。
厳密には、上限利率を超えて受領した利息のうち、その受領を適法とする要件を充たしていないもの(みなし弁済が成立しないもの)ということになります。
この、利息制限法の上限利率を超える利息の受領を適法化するみなし弁済を定めていた法律は貸金業法(旧称は貸金業の規制等に関する法律)で、貸金業法は貸金業者による金銭の貸し付けに適用されます。
銀行や信用金庫、信用組合はお金の貸付を行っていますが、それぞれ規制する法律が別途用意されており(銀行法など)、貸金業法は適用されません。
ちなみに、弁護士が債務整理を受任して介入すると貸金業者は債務者への直接の督促等が制限されますが、これは貸金業法の規定によるものであり、銀行は規制を受けません。
2 自動車ローンの種類
一般的に自動車ローンと言われる商品は、次の2つのタイプに分けることができます。
すなわち、①クレジット会社による立替払い(ショッピング)、または②自動車購入目的での金銭の貸し付けです。
このうち、①を規制している法律は割賦販売法であり、貸金業法ではありません。ちなみに割賦販売法を管轄しているのは経済産業省ですが、貸金業法は金融庁です。そして、割賦販売法にはみなし弁済という制度は過去にもありませんので、ショッピング取引で過払い金が生じることはありません。つまり、①の形態の「自動車ローン」では過払い金は生じないことになります。
次に、②については、例えば貸金業法が適用される消費者金融会社やクレジットカード会社が過去にこのような商品を提供していた場合は利息制限法の上限利率を超える利率で貸し付けていたかもしれませんが、このような形態の自動車ローンを提供しているのは、銀行や信用金庫等の貸金業法が適用されない業者です。
そのため、過払い金は発生しないことになります。
3 自動車ローンには過払い金はありません
以上をまとめると、自動車ローンと呼ばれる商品から過払い金が発生することはまずない、ということになります。
もちろん、消費者金融から利息制限法の上限利率を超える利率で借り入れたお金で車を購入した、というような場合は、過払い金は発生し得ます。