お役立ち情報
クレジットカード会社の取引履歴の読み方
1 取引履歴の取得
消費者金融会社は、アコム等一部の業者を除き、貸金業のみ行っており、クレジットカードの事業は扱っていません。
なお、一部の消費者金融について、当該業者名(または愛称)を付したローンカード兼クレジットカードが発行されていますが(例えばプロミスVisaカード)、当該消費者金融が当事者となるのはローンカード部分のみで、クレジットカードの部分は系列のクレジットカード会社(プロミスVisaカードの場合は三井住友カード)が当事者になっています。
このような、貸金業のみ行っている業者からの借入金について完済している場合、過払い金返還請求手続きの依頼を受けた弁護士が当該業者に受任通知を送付し取引履歴の開示を求めても、負債は残っていないのですから、信用情報に事故情報が登録されることはありません。
しかし、クレジットカード会社の場合、クレジットカードは通常、キャッシング(貸金)とショッピング(立替金)で使うことができますが、キャッシングは完済して残高がない場合でも、過払い金とは関係のないショッピング利用で残高が残ってしまっていると、任意整理(任意整理には過払い金返還請求も含まれます)を受任した弁護士が当該クレジットカード会社に受任通知を送付し取引履歴の開示を請求した場合、信用情報に事故情報が登録されることになります。
そのため、キャッシングの残高はないものの、ショッピングについては残高がある場合は、信用情報に事故情報が登録されるのを回避するため、キャッシング取引についての取引履歴のみを請求するという方法を取ることになります。
2 取引履歴の内容
⑴ 弁護士が債務整理または過払い金返還請求の依頼者の代理人としてクレジットカード会社に対し取引履歴の開示を請求した場合、消費者金融と同様、契約日、約定利率、借入日、借入金額、返済日、返済金額などのキャッシング取引に関する情報が記載された一覧表が開示されます。
なお、借入日、借入金額、返済日、および返済金額はどの業者の履歴にも記載されていますが、それ以上の情報の記載については業者によって区々です。
なお、消費者金融は約定利率で計算された取引履歴を開示しますが、クレジットカード会社の多くは、利息制限法の上限利率で引き直し計算をした取引履歴を開示します。
そのため、クレジットカード会社の場合、開示された取引履歴によっておおよその過払い金額はわかりますが、クレジットカード会社は過払い利息が発生しない前提で計算していますので、過払い利息を含めて計算すると通常、過払い金は増額します。
⑵ 上記は弁護士が債務整理または過払い金返還請求の代理人として取引履歴の開示を請求した場合のご説明になりますが、弁護士がカード契約者の代理人として、または契約者ご本人がキャッシングの取引履歴のみの開示を請求した場合、毎月のクレジットカードの利用明細をまとめて開示する業者も少なくありません。
そうなりますと、毎月の利用明細から借入日、借入金額、返済日および返済金額の情報を抽出して過払い金の計算ソフトに入力しなければなりませんので、手間がかかり、過払い金の計算に時間がかかります(例えば取引期間が10年で、毎月の利用明細が開示された場合、120枚の明細を1枚1枚確認しなければなりません)。
なお、三菱UFJニコスなど一部の業者は、契約者ご本人が取引履歴の開示を請求した場合でも、利用明細等ではなく、利息制限法の上限利率で引き直し計算をした取引履歴を開示します。
この場合、取引履歴の途中から残高がマイナスとなり、また貸金(キャッシング)の残高の欄に例えば「-1,268,742」等とマイナスの数字が記載されていて困惑する方もいらっしゃいますが、これは過払いが発生しているということを意味します。
なお、⑴でもご説明しましたとおり、業者が計算した過払い金には利息が含まれておらず、また、仮に「-1,268,742」と記載されていたとしても、業者がこの金額の過払い金の発生を認めたわけではないので注意が必要です(例えば取引の分断があっても一連で計算していることがありますが、これは業者が一連計算を認めたわけではありません)。
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