Q&A
自己破産の免責とはなんですか?
1 免責という言葉
「免責」という言葉は専門用語ではありませんので、みなさんも聞いたことや見たことがあると思います。
例として、自動車保険や生命保険といった保険契約について考えてみましょう。
保険の契約をした際に、保険証券等の書類に「免責」や「免責金額」という言葉が出てきます。
この場合の「免責」とは、損害が発生しても保険会社が保険金の支払義務を負わない場合のことを指しています。
また、「免責金額」とは、損害が発生した場合に被保険者等が自己負担する額として、保険契約時に設定する金額を指しています。
他の例として、憲法では「免責特権」という権利が定められています。
これは、議会で行った演説・討論・表決について、国会議員は院外で責任を問われないという特権のことです。
2 自己破産での免責とは
破産法に規定されている免責とは、借金等の債務の支払義務を免れることを意味します。
もっと厳密に言うと、裁判所によって免責が許可され、それが確定した場合は、借金等の債務について、裁判によって支払いを強制されることが無くなるということを意味します。
そのため、免責が確定した後で任意に債務者が返済した場合には、その返済は存在する債務の返済として有効となります。
この場合、任意で返済した金銭について、債権者の不当利得として返還を請求することはできません。
これを、法律用語で「自然債務」といいます。
また、免責を許可する決定が確定しても、支払いが免除されない債務があります。
例えば、税金等の公租公課や、子供の養育費などは、免責の許可を受けても支払いの義務を免れることはできません。
これらの債権のことを「非免責債権」といいます。
また、悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償債務も免責されません。
例えば、会社の金銭を横領した従業員が破産手続を行っても、会社に対する損害賠償義務は免れられません。
免責される負債は、破産手続開始決定時に存在していた負債となります。
免責開始決定では、「令和〇年〇月〇日午後5時」といったように、時刻まで特定されます。
例えば、開始決定の1分後に事故を起こして損害賠償債務を負った場合、この債務は当該破産手続では免責の対象となりません。
3 免責が認められないケース
破産法が規定する免責不許可事由があり、かつ「裁量免責」と呼ばれる裁判所の裁量による免責も認められないと、免責は不許可になります。
免責不許可事由としては、ギャンブル(射幸行為)や浪費などが有名です。
他にも、クレジットカードを使って購入した商品を廉価で売却することなども、免責不許可事由に該当し得ます。
なお、ギャンブルや浪費などの事情があったとしても、多くの事案では裁量免責が認められています。
4 自己破産の免責は弁護士にご相談を
免責不許可事由に該当しそうな場合、破産手続きをしても借金の返済義務が免除してもらうことは難しいと諦めてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、破産に至った経緯などについて裁判所に対してしっかりと説明することで、裁量免責が認められたケースは多くあります。
免責が得られるかどうかお悩みの方は、まずは弁護士にご相談いただければと思います。
当法人では自己破産の手続きを得意とする弁護士がご相談・ご依頼を承りますので、お気軽にお問い合わせください。
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