Q&A
自己破産の申立てを自分で行うことはできますか?
1 本人訴訟主義と弁護士強制主義
民事裁判手続等について、必ず弁護士が代理しなければならないという制度を弁護士強制主義といい、当事者本人が自ら手続きを行うことができる制度を本人訴訟主義と言います。
日本では本人訴訟主義が採用されていますので、自己破産手続についても、法律的には、債務者の方ご本人が自分で申立てを行うことは可能です。
実際、数十年以上前に破産したことがあるという方に聞くと、自分で書類を書いて申し立てをしたという方も複数いました。
2 自分で申立てをするメリット
ご自身で自己破産の申し立てを行うメリットは、弁護士費用がかからないということです。
もちろん、申立てのためにしなければならない作業は、すべてご自身で行わなければなりません。
スマートフォンの劣化したバッテリーについて、専門店に持ち込んで交換してもらうのではなく、Amazonなどで新しいバッテリーを購入して自分で交換するというようなイメージです。
なお、千葉地方裁判所では、ご本人で破産申立てを行う際の書式を配布しています。
3 自分で申立てをするデメリット
⑴ 督促が止まらない
消費者金融会社やクレジットカード会社の場合、代理人の弁護士から債務整理の受任通知の送付を受けた後は、債務者ご本人に直接連絡をすることは禁止されます。
しかし、弁護士等に自己破産を依頼していない場合は、業者からの督促等の連絡は止まらないことになります。
⑵ 費用の総額ではあまり変わらないケースもあり得る
破産手続について破産管財人が選任される場合は、その費用を準備しなければなりません。
この管財人の費用について、千葉地方裁判所(支部を含む)では、弁護士が代理人として申立てを行った場合は、原則として少額管財手続となり、管財人の費用は20万円となります(官報広告費は別途)。
しかし、弁護士をつけずにご本人で申立てを行った場合は、通常管財という手続きになり、管財人の費用は原則として50万円(官報広告費込み)となります。
このため、破産管財人が選任される手続きでは、破産手続にかかった費用の総額という点からは大きな違いがでないということもあり得ます。
⑶ 法律上問題のある行為をしてしまう可能性がある
弁護士が自己破産の依頼を受ける際は、例えば特定の債権者にだけ返済してはいけないなど、注意事項を依頼者に説明します。
ご相談の際に聞き取った事情で、破産手続で問題になりそうなことがあれば、対応方法を説明します。
しかし、ご本人で申立てをする場合は、専門家から事案に即した注意事項の説明等を受けることができませんので、破産手続で不利益が生じる可能性もあります。
スマートフォンのバッテリーを自分で交換しようとした際に機器を破損してしまったというのと同じ状況です。
以上のようなデメリットもありますので、最初から弁護士等専門家に依頼して破産手続を進めることをお勧めします。
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