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自己破産をお考えの方の任意売却についての注意点

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2021年6月11日

1 任意売却とは

任意売却とは、文字通り任意に売却することですが、実務では、住宅ローンが残っている不動産を競売ではない方法で売却することを意味します。

任意売却は、例えば夫婦が離婚することになり広い自宅が不要になった場合や、転職等の事情で転居が必要になり自宅には戻る見込みがない場合などに行われますが、収入が下がったり多重債務者になったりして住宅ローンの返済が困難になった場合にも行われます。

任意売却は、通常は不動産業者に依頼して行うことになります。

2 任意売却と自己破産

任意売却を行っても住宅ローンが残る見込みの場合は、金融機関から無担保での借り入れを行い、それを住宅ローン残額の返済に充てるのが通常です。

もちろん、住宅ローン会社(通常は保証会社)と分割返済の合意ができた場合は、その合意に従って返済することになります。

しかし、任意売却を行っても住宅ローンの残額が多額になる場合や、住宅ローン以外にも銀行や消費者金融等から無担保の借り入れがある場合は、住宅ローン返済のための借り入れを行うのは困難ですので、自己破産等の債務整理を検討することになります。

この場合は、弁護士に自己破産手続を依頼し、弁護士のアドバイスの下で任意売却を進めることになります。

3 任意売却の注意点

⑴ 任意売却後(または競売後)にも多額の住宅ローンが残っており、完済できる見込みもないのに、自己破産手続をせず、住宅ローン会社(保証会社)に言われるまま、毎月数万円程度の返済を継続しているケースが見受けられます。

返済について住宅ローン会社(保証会社)との間に合意がなければ、その返済金は遅延損害金に充当されます。

元金の金額が大きければ遅延損害金の金額も膨れあがりますので、毎月数万円程度返済していても遅延損害金に充当されるだけになります(元金は減りません)。

住宅ローン会社(保証会社)も完済不能であることは理解していて、ただ、消滅時効の完成を防ぐために毎月返済してもらっているだけです。

このような場合は、返済するだけ無駄で、その返済金を生活再建に使った方が有益ですので、直ちに弁護士に相談して自己破産手続を行ってください。

⑵ 不動産業者は、任意売却が成功すると仲介手数料を獲得できますが、住宅ローン債務者が自己破産するとなると(自己破産の依頼を受けた弁護士が受任通知を送付すると)、通常、住宅ローン会社(保証会社)が定める売却金額の基準が厳しくなります(残った住宅ローンの返済を受けられないためです)。

そのため、住宅ローン債務者が自己破産しないよう(弁護士に相談しないよう)、例えば残った住宅ローンは払わなくていいなどと誤解を招くような説明をしているケースも見受けられます。

自己破産手続を行い免責が許可されれば(ほとんどのケースで免責は許可されます)、住宅ローンも免除されます。

任意売却をしても住宅ローンが残る見込みの場合は、任意売却手続と同時に(または事前に)弁護士に相談し、自己破産手続等を依頼してください。

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