「自己破産した場合の財産」に関するお役立ち情報
自己破産の手続と保険
1 申立ての際に添付する資料
千葉地方裁判所とその支部では、自己破産を申立てる際、申立人が契約者となっているすべての保険について、保険証券・保険証書のコピー等の資料を添付する必要があります。
すべての保険ですので、生命保険や医療保険はもちろん、火災保険や家財保険、自動車保険やペット保険などの損害保険についても、保険証券等のコピーを提出し、財産目録に記載しなければなりません。
個人年金保険も同様です。
また、県民共済、コープ共済、JA共済、全労済なども保険になりますので、証書等のコピーを提出する必要があります。
勤務先の給料から保険料が控除されている保険については、普段あまり意識しておらず、忘れてしまうケースもあるため、ご注意ください。
このように、自己破産ではすべての保険の資料を添付する必要がありますが、手続きにおいてもすべてが問題となるというわけではありません。
以下で、保険が問題となりうるケースをご説明いたします。
2 破産手続で問題になる保険
⑴ 解約返戻金のある保険
破産手続において主に問題となる保険は、解約返戻金がある保険です。
破産手続では、保険の価値は解約返戻金の金額で決まります。
そのため、申立ての際には、解約返戻金見込額の証明書等を提出する必要があります。
⑵ 掛け捨ての保険
解約返戻金が無い保険、つまり掛け捨ての保険については、財産的価値はありませんので、破産手続では原則として問題にはなりません。
⑶ 払戻金のある保険
解約返戻金は無いものの、解約すると払戻金がある保険があります。
たとえば自動車保険で、保険期間2年間分の保険料を一括前払いで支払っており、6か月経過時点で解約する場合、通常は未経過期間の保険料については払い戻しされます。
この場合、破産手続においては、解約したら払い戻される金額が保険の価値となります。
しかし、その資料について提出が必要かどうかはケースバイケースです。
例えば、自動車保険の場合、一括前払いでも保険料はそれほど高くありませんので、問題とされることはあまりありません。
これに対し、自宅を住宅ローンで購入した際に加入した長期火災保険の場合、解約すると数十万円の払戻金が発生するケースもあります。
その場合は、払戻金の証明書が必要になります。
なお、払戻請求権に住宅ローン債権者等の担保権が設定されている場合は、第三者に対抗できる担保権の資料を提出すれば、払戻金の証明書は原則不要です。
第三者に対抗できる担保権が設定されている場合は、破産管財人にも対抗できますので、財産的価値はないことになります。
3 その他に保険が問題となるケース
以上とは異なる視点で、保険が問題となることもあります。
それは、保険料が家計を圧迫し、それが破産の原因の一つになっている場合です。
そのような場合は、破産管財人や裁判官に、保険を見直すよう勧告される場合があります。