千葉で『自己破産』の相談なら【弁護士法人心 千葉法律事務所】まで

弁護士による自己破産@千葉

  1. 続きはこちら
  2. 続きはこちら
  3. 続きはこちら
  4. 続きはこちら
  5. 続きはこちら

自己破産のご相談で選ばれる理由

当法人が千葉にお住まいの方から選ばれる理由についてご紹介をしています。自己破産について弁護士へのご相談をお考えの方は、一度ご覧ください。

お客様相談室

自己破産のご依頼中も安心

お客様相談室を設けておりますので、ご依頼中に気になることや不安なことが生じた際もご連絡いただけます。千葉やその周辺にお住まいの方に安心してご依頼いただける環境です。

電話で自己破産のお悩みを相談

当法人ではお電話でのご相談についても承っています。千葉にお住まいで自己破産をするかどうかお悩みになっていらっしゃる方は、まずは電話相談をご利用ください。

Q&A

Q&A一覧はこちら

自己破産に関するご質問をまとめています

破産を検討されている方は参考にしていただければと思います。実際に自己破産を行う際は弁護士がサポートさせていただきますのでご相談ください。

サイト内更新情報(Pick up)

2024年11月8日

自己破産と養育費の支払い

自己破産をされる方の中には、養育費の支払いを行っている方もいらっしゃいます。養育費とは、離婚した夫婦に未成年の子どもが存在する場合に、離婚により親権者となった・・・

続きはこちら

2024年10月15日

自己破産のメリット

自己破産の第一の特徴は、税金等の非免責債権(破産して免責を許可する決定を受けても免除されない債務)を除いて、破産手続が開始した時に存在したすべての債務が・・・

続きはこちら

2024年9月9日

滞納していた税金は自己破産をするとどうなりますか?

免責を許可する決定が確定すると、破産者は、原則として破産債権全部について、弁済する責任を免れることになります。しかし、破産法は、免責を認めるのが相当でない・・・

続きはこちら

2024年8月8日

住宅ローンがある方が自己破産を専門家に相談するタイミング

住宅ローンの返済が難しくなった時に、自己破産について一切検討することなく、金融機関に毎月数千円のみ返済しているケースも時々見受けられます。毎月数千円返済し・・・

続きはこちら

2024年7月4日

連帯保証と自己破産

連帯保証をしていたために自己破産しなければならなくなるケースには、主に次の2種類があります。1つ目は、会社の借入金の連帯保証です。中小企業が金融機関から・・・

続きはこちら

2024年6月17日

自己破産の手続と保険

千葉地方裁判所とその支部では、自己破産を申立てる際、申立人が契約者となっているすべての保険について、保険証券・保険証書のコピー等の資料を添付する必要が・・・

続きはこちら

2024年5月24日

自己破産の免責とはなんですか?

「免責」という言葉は専門用語ではありませんので、みなさんも聞いたことや見たことがあると思います。例として、自動車保険や生命保険といった・・・

続きはこちら

弁護士紹介へ

弁護士がしっかりと対応

自己破産を得意とする弁護士が相談にのらせていただきますので、安心して相談にお越しください。自己破産の疑問にも丁寧にお答えいたします。

スタッフ紹介へ

まずはお問合せください

初めてのお客様専用ダイヤルをご用意しておりますので、まずはお気軽にお問合せください。相談日の日程調整等をスタッフが丁寧に対応させていただきます。

千葉駅から近い事務所です

当法人の事務所は千葉駅から徒歩1分のところにあり、自己破産のご相談のために来所いただきやすい環境です。まずはお気軽にお問合せください。

新着情報

当法人に関する情報

年末年始等、新規相談の受付のお電話をお休みしている日時などの情報を掲載していますので、ご相談をお考えの方はご覧いただければと思います。

自己破産をお考えで免責不許可事由がある方へ

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2023年8月17日

1 免責不許可事由

破産法252条1項は、「裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。」とし、1号から11号で具体的な免責不許可事由を規定しています。

免責不許可事由があるため自己破産の選択を戸惑っている一般の方で多く問題になる免責不許可事由は、2号「破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。」および4号「浪費又は賭と博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。」です。2号に該当するのは、クレジットカードのショッピング枠の現金化やiPhone等高価な物品をクレジットで購入してすぐに販売する行為で、4号は浪費とギャンブル(射幸行為ですので宝くじ等の購入もこれに該当します)です。

なお、3号の偏頗弁済も問題になることはありますが、偏頗行為についての否認権行使で多く問題になります。

このような免責不許可事由があったとしても、「裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることが」できます(破産法252条2項)。

これを裁量免責と言いますが、免責不許可事由があったとしても、多くのケースでは裁量により免責が許可されています。

2 個人再生または任意整理を選択すべきか

免責不許可事由がある場合に、自己破産を避けて個人再生または任意整理を選択すべきでしょうか。

まず、自己破産を考えている方が、任意整理を選択することは通常厳しいと思われます。将来利息は0%となったとしても、少なくとも元金は通常5年程度で全額返済しなければならないからです。

次に、個人再生の場合、小規模個人再生であれば、仮に500万円の負債があった場合、最低弁済額は100万円(100万円を超える財産がない場合)になりますので(これを原則3年、最長5年で分割返済します)、安定した仕事に就いていて履行可能性に問題がなく、かつ再生計画案が否決される見込みが低い場合は、小規模個人再生を選択してもよいでしょう。

しかし、仕事が安定していない場合や、今後大きな出費(子供の学費等)が想定される場合で、再生計画の履行可能性が微妙な場合は、個人再生の選択についてはよく考えたほうがよいでしょう。

3 免責が許可されないケースは少数

破産手続で免責が許可されないケースはごく少数です(ただし、免責が許可されない可能性が高いケースはそもそも破産申立てをしていないということもあります)。

ギャンブルや浪費で消費者金融やクレジットカードの負債が数百万円に膨らんでしまった場合でも、また現金が不足してやむを得ずクレジットカードのショッピング枠を現金化してしまった場合でも、破産手続で誠実に対応すれば、免責が不許可になることはまずありません。

免責不許可事由があると慎重になって個人再生や任意整理を勧める専門家もいるようですが、個人再生や任意整理だと返済が厳しいと感じている方は、一度別の専門家にも相談するとよいでしょう。

自己破産の際の弁護士選びのポイント

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2022年9月12日

1 非弁提携の多い類型

自己破産手続は、非弁提携を行っている弁護士が取り扱っている事件類型で多いものの一つです。

非弁提携とは、弁護士が非弁護士と弁護士法および職務基本規程上許されない提携をすることをいい、非弁提携を行うと、弁護士も非弁護士も刑事罰の対象になります。

従来からの典型的な非弁提携は、仕事が少なくなった高齢の弁護士に非弁護士が働きかけ、毎月一定額の報酬を支払う代わりに当該弁護士の名で自己破産手続等を行うというものです。

非弁提携を行っている弁護士に自己破産を依頼すると、不適切な事件処理をされたり、預けた金銭を別の用途に費消されたりしてしまうことがあり、また、弁護士報酬も割高になっていることがあります。さらに、法律相談も非弁護士である「事務員」が行い、弁護士は全く顔を出さない(出すとしても最初だけ)ことが多く、電話連絡しても弁護士と話すことはできないようです。

このような非弁提携を行っている弁護士は、過去に非弁提携で弁護士会から懲戒を受けていることもあります。

自己破産の法律相談に行った法律事務所に違和感があった場合は、インターネットで当該弁護士に非弁提携の懲戒歴がないかどうかを調べ、また、別の法律事務所の弁護士にも相談するとよいでしょう。

2 弁護士の経験値

自己破産事件は、弁護士数が少なかった昔は、本人申し立て(債務者の方が弁護士に依頼せずに自分で書類を用意して申立てをすること)も多かったようです。

しかし、個人の方の自己破産申立てについても、法律上注意しなければならない点は多々あり、専門家のアドバイスを受けずにご本人で申立てを行うことについてはリスクも伴いますので、弁護士に依頼して手続きを行った方がよいでしょう。

ただ、自己破産手続について慣れていない弁護士だと、申立ての手続がスムーズに進まなかったりすることがあります。

信用情報は、自己破産の申し立てを行い、自己破産手続が裁判所で開始しないと、事故情報抹消までの期間のカウントは始まりません。

申立てが遅れれば、信用情報から事故情報が抹消されるのも遅れることになります。

そのため、自己破産の手続きを行う場合は、自己破産手続についてある程度の経験値がある弁護士に依頼するとよいでしょう。

当法人が自己破産の対応を得意とする理由

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2022年7月11日

1 自己破産を得意とする弁護士

弁護士は、弁護士資格を取得するまでの過程で破産法を学習し、また司法試験合格後の司法修習(とくに弁護士事務所で行われる弁護修習)で破産手続について接することがあります。

しかし、相談から破産手続き終了までの一連の手続きすべてについて、司法修習中に接することはまずありません。

そのため、自己破産手続の実務については、弁護士資格を取得し、法律事務所に所属してから学ぶことになります。

それゆえ、自己破産手続の対応が得意になるためには、弁護士資格を取得した後にどれだけ破産事件を処理したのかが一つのポイントになります。

2 破産管財人

通常の破産手続におけるプレイヤーは、裁判所・裁判官、破産者(と申立代理人)、破産管財人の三者になります(同時廃止の場合は、破産管財人は選任されません)。

このうち、弁護士が関わるのは申立代理人と破産管財人です。

法律上、破産手続開始申し立てについて代理人になれるのは弁護士のみであり、また、破産管財人については法律上弁護士に限定されているわけではありませんが、実務上、弁護士以外が選任されることはないようです。

破産申立ての代理人を多数経験していれば、破産実務について相応の知識を得ることは可能ですが、破産申立ては裁判所に対して行いますので、他の法律事務所の弁護士がどのような申立てを行っているのかについて知ることはできません(民事訴訟の場合は、相手方代理人弁護士の書面を見ることができます)。

しかし、破産管財人に選任されると、申立てを代理した弁護士が作成した申立書等を見ることができ、また、破産申立てまでにどのような処理をしていたのかについても知ることができますので、破産申立ての代理人を経験することで獲得した破産実務の知識に深みが出ることになります。

自己破産の対応が得意になるためには、破産管財人の経験も一つのポイントになります。

3 弁護士法人心が自己破産の対応を得意とする理由

弁護士法人心では、法人設立当初から自己破産手続を主力業務の一つに位置付けて多数の案件を取り扱っており、担当弁護士は、それらを処理する過程で破産実務に関する知識を豊富に身に付けています。

また、自己破産手続の担当者には裁判所から定期的に破産管財人に選任される弁護士も複数おり、破産管財人の業務で得た知識経験は、事務所内で定期的に行っている研修で共有しています。

以上が、弁護士法人心が自己破産の対応を得意とする理由になります。

自己破産ができないケース

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2022年6月14日

1 自己破産ができない?

債務整理の相談をしていると、「自己破産できますか?」と質問されることが時々あります。

その質問の趣旨は、大きく分けて次の二つになると思います。

一つは、ギャンブルや浪費をしていたため、免責、すなわち負債の免除を受けられるかどうか、という趣旨の質問です。

もう一つは、免責については問題ないものの、自己破産手続を進めると、例えば仕事ができなくなるなどの支障が生じるのではないか、という趣旨の質問です。

以下、これらの「自己破産ができないケース」について概要を説明します。

2 免責を受けられないケース

⑴ 個人の方の自己破産手続の場合、その最終目的は、免責を許可する決定を受け、負債の免除を受ける点にあります。

破産手続を行っても、免責が許可されなければ、手続きを進めた意味はあまりありません。

破産法は、免責不許可事由としていくつかの事由を規定しており、一般消費者の方によく見られるのは、ギャンブル等の射幸行為、浪費および偏頗弁済です。

偏頗弁済とは、貸金業者への返済を一切ストップした後に、親族からの借り入れについてのみ返済してしまうというような行為です。

ただし、免責不許可事由があっても、裁判所の裁量による免責を受けることができます(これを裁量免責と言います)。

そして、ギャンブルや浪費、FX等の投機行為があったとしても、多くの事案では裁量により免責が許可されています。

そのため、免責不許可事由があるから「自己破産ができない」というケースは限られています。

⑵ なお、自己破産手続を行っても免責されない負債があり、これを非免責債権といいます。

例えば、税金等の公租公課や、養育費等がこれに該当します。

そのため、借入金はないものの、多額の税金滞納がある場合は、免責を受ける意味がないですので、「自己破産ができないケース」になります。

このケースでは、課税庁と相談し、分割納付の取り決めをすることになります。

3 自己破産手続を進めると支障が生じる場合

⑴ 自己破産手続をすると支障が生じる場合としてまずあげられるのは、破産すると職業や資格の制限が生じるケースです。

制限を受ける職業または資格としては、警備員や生命保険募集人等がよく知られていると思いますが、制限される職業、資格は多岐に渡り、本稿の執筆者もすべてを把握しているわけではありません。

このように職業等の制限により仕事等に支障が生じる場合は「自己破産ができないケース」に該当し得ますが、具体的にどのような支障が生じるかどうかはケースバイケースで検討する必要がありますので、弁護士にご相談ください。

⑵ 次に、自己破産を行うと日常生活に不可欠な財産を失ってしまう場合が挙げられます。

例えば、公共交通機関が不便な場所にお住いの方が所有する自動車です。

ただし、自動車ローン会社に所有権が留保されている場合は自己破産を行うと車は引き揚げられてしまいますが、そうでない場合は、自己破産で車を失うケースはあまりありません。

通常の国産車であれば、初度登録から7年程度経過していれば、破産手続で失うことはまずありません。

⑶ なお、自己破産手続を勤務先や同居の家族に知られるとまずい、という場合もあります。

この点についても、ケースバイケースで判断する必要がありますので、弁護士にご相談ください。

なお、一般論としては、勤務先については、勤務先から借り入れがない限り、破産手続を知られることはまずありません。

自己破産をする場合の弁護士費用の支払いについて

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2024年11月13日

1 自己破産で必要になる費用

自己破産手続を弁護士に依頼した場合に必要となる費用には、大きく分けて①弁護士報酬、②実費および③予納金があります。

①の弁護士報酬には、着手金、成功報酬および日当があります。

このうち成功報酬について、以前は、免責が許可された場合に成功報酬が発生すると契約で定めている法律事務所も多くありましたが、現在では、成功報酬は定めていない法律事務所も増えています。

当法人でも、成功報酬は定めていません。

②の実費は、郵便代、コピー代、交通費等になります。

実費の負担方法については、実際に必要になった金額のみを依頼者に負担いただく法律事務所もあれば、法律事務所が決めた定額を依頼者に負担いただく法律事務所もあります。

また、実費は法律事務所負担とする法律事務所もありますが、実費を法律事務所で負担する場合は、その点も含めて着手金の金額を定めているものと思われます。

当法人では、実際に必要になった実費の金額を負担いただいております。

③の予納金には、どの案件でも必要になる官報公告費と、破産管財人が選任される場合に必要となる引継ぎ予納金(管財人費用)があり、その金額は各裁判所が設定しています。

この予納金については、依頼者の方の負担となります。

2 費用の支払いについて

自己破産手続を弁護士に依頼して進めるためには、管財人が選任されない同時廃止の場合でも、最低数十万程度の費用を準備いただく必要があります。

ただし、法テラスを利用する場合は、法テラスが決めた金額になります。

弁護士が民事訴訟等の案件の依頼を受ける場合、通常の場合は着手金や実費等を一括でお支払いいただくことになりますが、自己破産の場合、一括で支払える財産がない方も多いです。

そのような場合には、分割でお支払いいただくことも可能です。

分割で費用の積み立てを行う場合は、依頼を受けた弁護士は、費用の積み立て期間中に貸金業者等の債権者への受任通知の送付と債権調査を行い、費用の積み立てが完了した段階で破産の申し立てを行います。

債権者への受任通知の送付はご依頼いただいた直後に行いますので、基本的には消費者金融会社やクレジットカード会社からの督促は早期にストップします。

なお、分割払いの場合でも、お支払いの期間には制限がありますので、ご注意ください。

詳しくはご相談の際にご説明いたします。

自己破産をした場合の生活への影響

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2024年10月21日

1 自己破産を行うことへの不安

住宅ローンを組んだ方は、借り入れをする金額も高額であるため住宅ローンが払えなくなったら自己破産しなければならないかもしれないということを借り入れの際に少し考えたことがあるかもしれません。

これに対し、カードローンやクレジットカードの場合は、現在では申し込みもスマートフォン等で簡単にできますので、申し込みの際に自己破産を想定することはまずないかと思います。

その後、多重債務となり負債が膨れ上がって返済が厳しくなり、弁護士に相談したところ手段は自己破産しかない、との回答を受けた場合、想定外のことということもあって、より一層自己破産に対して不安を覚えるのではないかと思います。

本稿では、その不安の中心を占めるであろう、自己破産をした場合の生活への影響についてご説明します。

2 職業・資格制限

自己破産手続に特有の影響として、職業・資格の制限があります。

職業・資格の制限は一時的なものとはいえ、制限がかかる職業・□に該当すると、その仕事を辞めざるを得なくなる場合もありますので、そのようなケースでは生活への影響は大きくなります。

制限される職業・資格は多岐に渡りますが、例としては警備員と保険外交員(生命保険募集人)が挙げられます。

本稿の執筆者が過去にこうした職業の方の債務整理のご依頼を受けた案件では、職業制限を回避するため、自己破産とは異なる方法での対応を行っています。

ただし、職業制限の影響についてはご依頼者の方の個別の事情を前提に判断する必要がありますので、警備員または生命保険募集人だと破産は難しいと即断することはせず、必ず弁護士に相談してください。

3 財産の換価処分

自己破産を行った場合、所有する財産は原則として換価処分されることになります。

もちろん、個人再生の場合でも、担保権が設定されている不動産や自動車がある場合には、原則として担保権を実行されてそれらを失うことになります(ただし、住宅資金特別条項を利用できる場合は、自宅は確保できます)。

しかし、個人再生の場合には、その手続きで財産の換価処分が行われることはないため、担保権の設定されていない財産についてはそのまま手元に置いておけるのに対し、自己破産の場合は、担保権の設定されていない財産も原則として換価処分されることになります。

公共交通機関の乏しい地域にお住まいの方の自動車等、自己破産手続で換価処分される見込みの財産が生活に必須のものである場合には、代替手段を検討しておく必要があります。

4 信用取引の制限

自己破産手続を行うと、一定期間、信用情報機関にその旨が登録されます。

そのため、与信審査で信用情報機関を利用している貸金業者やクレジットカード会社に申し込みを行っても、審査で落とされる可能性が高くなります。

最近は決済手段も増えていますので、クレジットカードが生活に必須とまでは言えなくなっていますが、賃料の支払いなどの決済手段においてクレジットカードを指定されている場合には、不便や不都合を感じることがあると思います。

なお、賃料の支払いでクレジットカードが指定されている場合には、家賃保証会社もクレジットカード会社になっています。

5 プラスの影響も大きい

以上、ここまで自己破産を行うことによる生活へのマイナスの影響を述べましたが、自己破産をして免責が許可されると、税金等(非免責債権)を除き、破産手続開始の際に存在していたすべての負債の返済義務が免除されます。

そのため、経済生活の再建にとっては大きくプラスの影響があります。

自己破産のメリット・デメリット

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2024年7月17日

1 自己破産のメリット

自己破産のメリットは、生活再建が最もしやすくなるという点にあります。

まず、個人の方の債務整理の手段としては、自己破産のほか、任意整理と個人再生があります。

任意整理は、元金(業者によっては利息、損害金も含む)を3年から5年程度で分割して返済することを消費者金融等の業者と合意することで行う債務整理です。

また、個人再生は、法律の規定にしたがって減額された負債を原則3年、最長5年で分割返済すれば、残りの返済が免除される手続きです。

このように、任意整理および個人再生では、手続きをした後も3年から5年程度返済を続ける必要があります。

他方、自己破産では、免責を許可する決定により、税金や養育費等の非免責債権を除いた全ての負債が免除されます。

つまり、収入をすべて生活等に使うことができるようになりますので、生活の再建は行いやすくなります。

2 自己破産のデメリット

⑴ すべての負債が対象となることでのデメリット

任意整理は、消費者金融会社等の金融業者と個別に交渉して返済条件を変更する手続きですので、対象とする業者を選択できます。

つまり、住宅ローンや自動車ローン、勤務先からの借り入れ等といった、対象とすることでなんらかの不利益が生じるものがある場合には、それを対象から外すことが可能です。

他方、自己破産の場合、全ての負債が対象となりますので、例えば勤務先からの借り入れがある場合には、裁判所から勤務先に破産手続の通知が届くことになります。

⑵ 住宅ローンについてのデメリット

任意整理の場合や、住宅資金特別条項を利用した個人再生の場合、住宅ローンの返済は継続しますので、自宅を残すことが可能です。

しかし、自己破産の場合は、住宅ローンの返済もストップしますので、自宅は売却されることになります。

⑶ 資産についてのデメリット

任意整理や個人再生の場合は、担保の設定されていない資産が換価処分されることはありません。

しかし、自己破産の場合は、原則として資産は破産管財人によって換価処分されることになります。

ただし、千葉地方裁判所では、資産の合計が99万円超えない場合は、原則として自由財産となり換価処分されることはありません。

⑷ 職業についてのデメリット

自己破産の場合、破産手続の開始から免責許可決定が確定するまでの期間、一定の職業について制限があります。

任意整理や個人再生を行う場合には、このような制限はありません。

職業制限は多岐にわたりますので、自己破産をお考えの際には、ご自身の職業について影響が出るかどうかをネット等で調べてみたり、弁護士へ相談したりすることをおすすめします。

自己破産の流れ

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2024年9月4日

1 自己破産とは

自己破産手続は、個人の方が選択できる債務整理の手段の一つで、地方裁判所で行われますが、免責を許可する決定を得ることにより破産手続開始決定時に存在していた負債全て(非免責債権を除く)について支払義務を免れることを目的とする手続きになります。

本稿では、弁護士に委任して自己破産手続をする場合の流れについてご説明します。

2 弁護士への法律相談

弁護士への自己破産申立手続の委任は、まず法律相談を行うことから始まりますので、相談をする弁護士事務所を選択して法律相談を申し込むことが第一歩となります。

自己破産の法律相談では、ご相談者の方や家計を共にするご家族の仕事や収入の状況、負債総額、財産の状況、借り入れ理由などを伺いますので、負債に関する資料(直近の返済の際に受領したATM明細など)、収入に関する資料(給料明細、源泉徴収票など)、財産に関する資料(通帳、保険証券、車検証等)をご準備いただくことになります。

ご準備いただいた資料およびご相談の際に伺った事情を前提に、法律相談を担当する弁護士は、最適な債務整理の手段を検討し、自己破産が最適であると判断した場合は、その判断の理由をご説明した上で弁護士報酬等の費用をお示しし、ご相談者の方にご納得いただけた場合は、委任契約の締結に進むことになります。

委任契約を締結しましたら、委任を受けた弁護士はまず各債権者に自己破産手続の委任を受けた旨を記載した受任通知を送付しますので、その受任通知を消費者金融会社やクレジットカード会社等の債権者が受領したあとは、債権者からの連絡等は、弁護士に来ることになります。

3 費用の準備

委任契約を締結しましたら、ご依頼者の方には、まず、弁護士報酬(着手金)や、破産手続きを行うために必要な予納金等の費用の準備を行っていただきます。

破産手続を弁護士に委任して行う方の多くは、預貯金等のほとんどを返済に充ててしまっており、これらの費用を一括で準備することは難しいということがほとんどですので、その場合は、分割での積み立ても原則として可能です。

4 申立ての準備

弁護士による自己破産の申立ては、弁護士報酬や予納金等の費用の準備がすべて完了してから行うのが原則です。

ただ、費用の準備が完了してから申し立ての準備に入ると、申立てが遅れ、様々な不利益が生じかねません。

そこで、申立ての準備は費用の準備期間中、具体的には費用の準備が完了する約2か月前頃から開始し、費用の準備が完了した時点で直ちに申立てができるように手配します。

依頼者の方に行っていただく申立ての準備としては、家計表等の記入や、住民票、通帳等の必要書類の取得や収集等があります。

5 申立てから破産手続の開始へ

申立書の入力が完成し、また住民票や通帳などの添付書類、資料が揃いましたら、裁判所に申立書等を提出して申立てを行います。

申立て後、裁判所は申立書等の内容を確認し、不備等がある場合は申立人に対し資料の追加提出や説明を求めることがありますが、その場合は、裁判所から指定された期限までに対応する必要があります。

破産手続には破産管財人が選任される管財手続きと、選任されない同時廃止手続がありますが、同時廃止を前提として進められる場合は、軽微とは言えない免責不許可事由があるケース等を除き、裁判官による面接(これを「破産審尋」と言います)は行われないのが原則です。

つまり、指示された資料提出等を行えば、破産手続開始となり、同時に破産手続廃止となります。

また、例外的に破産審尋が行われるケースでは、面接終了後、数日以内に破産手続開始および同時破産手続廃止となります。

破産管財人が選任される管財事件の場合は、現在の千葉地方裁判所の実務では、通常、申立てを行い、予納金(官報公告費)を納付すると、比較的早い時期に開始決定が出され、選任された破産管財人による面接を受けることになります。

6 開始から免責決定まで

同時廃止手続となった場合、破産手続開始・同時廃止決定が出るまでに申立人において必要な対応は全て行うことになりますので、決定が出た後は通常、申立人において対応すべきことはなく、免責決定が出されるのを待つだけとなります。

管財事件となった場合は、まず破産管財人の面接を受け、破産管財人から何らかの指示(例えば家計表の作成など)を受けた場合はそれについて対応を行い、裁判所で行われる債権者集会に出頭します。

なお、債権者集会が行われない手続きの場合は、裁判所に出頭することはありません。

消費者の方の破産では、ほとんどの事案で破産債権者への配当に充てることができる財産はないため、第1回目の債権者集会において破産手続きは廃止され、通常、債権者集会と同日に免責についての判断も行われます。

以上が個人の方が破産手続を行う場合の手続きの概要になりますが、事案により異なる流れを辿ることもありますので、詳細は破産手続を委任する弁護士にご確認ください。

破産申立て後に破産者が行うこと

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2024年6月26日

1 破産申立て

破産手続は、破産手続開始申立書等の書類を作成し、必要な資料を準備して申立てを行うことで、手続が開始することになります。

つまり、申立書等の書類の作成等を行わなければそもそも申立てすることができません。それゆえ、破産手続では申立書等の書類の準備が最も重要になります。

この破産申立てにあたり作成する書類や集める書類ですが、申立て前2か月分の家計表や、財産関係の資料(預貯金通帳、保険の解約返戻金がわかる書類等)など多数あり、準備にはある程度の時間と労力が必要になります。

このように、書類の準備にはある程度の手間がかかりますが、必要な書類を不備なく準備して申立てを行えば、破産を申立てる側にとっては一段落ついたということになります。

ここでは、このように一段落ついた後、すなわち破産の申立て後に破産をする側が対応しなければならないことについてご説明します。

2 同時廃止の場合

千葉地方裁判所では、破産申し立ての際、手続についての意見も申立書に記載します。

具体的には、「同時廃止」か「管財手続」にチェックを入れることになります。

同時廃止が相当であると考える場合は、同時廃止にチェックして申立てを行います。

もちろん、同時廃止が相当かどうかは最終的には裁判所が判断しますので、管財手続きが相当であると裁判所が判断した場合は、管財手続きで進められることになります。

裁判所も同時廃止が相当であると考えている場合は、不足書類の提出や、申立書や資料の内容で説明が不足している部分(預貯金通帳にある不明な入出金など)を説明するように求められ(なおこれらの書類の提出については期限が設けられます)、提出が完了すれば、破産手続開始決定、同時廃止の決定がなされます(もちろん、申立て時に提出した書類に不備が全くなければ、追加提出を求められることもなくこれらの決定がなされます)。

この場合に、申立て後に申立人側が対応しなければならないのは、追加書類の準備および提出のみとなります。

なお、同時廃止の場合、かつての千葉地方裁判所の運用では破産手続開始決定(同時廃止決定)前に広く裁判官による審尋が行われていましたが、現在では原則として行われていません。例外として審尋(裁判官による面接です)が行われた場合は、その場で裁判官に家計表や反省文等の書類の提出を指示される場合があります。

家計表や反省文は免責判断の資料とされるものですが、これらについても提出期限が設けられますので、期限までに提出する必要があります。

3 管財手続の場合

⑴ 同時廃止手続きでは、裁判所が申立書等の内容を検討して破産手続開始、同時廃止の決定をしてよいかどうか判断しますので、その決定をするにあたり不足する資料や説明の提出を求められますが、管財手続きでは、破産管財人が申立書等の内容を吟味することになります。

そのため、現在の千葉地方裁判所の運用では、管財手続で進められる場合、破産手続開始決定前に裁判所から追加書類の提出等を指示されることはほとんどありません(住民票など破産手続を開始する上で必須の書類に不足があれば開始決定前に提出する必要があります)。

つまり、千葉地方裁判所では、申立ての際に提出が必要な書類(例えば過去2年分の入出金が記録された預貯金通帳のコピーなど)を定めていますが、管財事件の場合は、不足している書類についての提出の指示を破産管財人に委ねる扱いになっています。

そのため、どこまで厳格に不足書類の提出を求めるか、例えば、それほど利用していない銀行口座の通帳に記録されている入出金が1年11か月分しかない場合に不足する1か月分について入出金明細の提出を求められかどうかについては、管財人によって区々となります(当該銀行が近くにあれば明細の取得も容易ですが、例えば破産者の方が遠方から転居してきており、転居元の地方銀行の口座を持っている場合、明細の取得にはかなりの手間がかかります)。

また、管財業務に必要であると管財人が判断した書類等の提出を求められることもありますが、これも当然管財人によって区々となります。

これらの書類については、管財人が決めた提出期限までに提出する必要があります。

⑵ 浪費やギャンブルといった免責不許可事由がある場合は、管財人の免責意見の資料として提出するため、破産手続開始以降の家計表や、反省文の提出を指示されることがあります。

また、定期的に破産者の方と面接を行い、生活状況等について聞き取りを行う管財人もいます。

これらも、破産手続開始後に対応しなければならない事項になります。

⑶ 管財手続の場合は、管財人による面接が通常1回、裁判所での債権者集会が1回行われますので、管財人面接の場合は管財人の事務所、債権者集会は裁判所に出頭しなければなりません。

なお、債権者集会が設定されない管財手続きの場合は、裁判所への出頭は不要になります。

また、財産の換価に時間がかかる場合は(これらの場合は通常配当手続きが行われます)、債権者集会が複数回行われることもありますので、複数回出頭しなければなりません。

破産申立て前の債権回収

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2024年8月6日

1 破産と財産

破産手続では、破産者が有する財産は原則として破産管財人によって換価処分され、財団債権の支払いや破産債権者への配当に充てられることになります。

個人の方の破産の場合、主な財産としては預貯金や社内積立金(財形貯蓄など)、退職金請求権、保険の解約返戻金、株式(勤務先の持株会など)、不動産や自動車などがありますが、特定の人に特定の行為や給付を請求できる権利である債権一般も原則として財産になります(なお、預金も「預金払戻請求権」という債権であり、解約返戻金も「解約返戻金請求権」という債権です)。

例えば、破産者が投資詐欺に遭い、加害者から指示されて消費者金融から借り入れた300万円を加害者に渡してしまった場合、破産者は、その加害者に対して300万円の損害賠償請求権という債権を有することになります。

その損害賠償請求権について回収できていないまま破産申立てを行った場合、破産管財人は、加害者に対してその支払いを請求し、回収できた金額は破産財団に組み入れられることになります。

また、その加害者が行方不明で、賠償金の回収が困難な場合は(投資詐欺の場合は回収困難なことがほとんどです)、破産管財人は、その損害賠償請求権を破産財団から放棄することになるのが通常ですります。

破産管財人が破産財団に属する権利について放棄をすると、その権利の管理処分権は破産者に戻りますので、その後破産者が自身の努力で損害賠償金を回収したとしても、その回収した金額が破産債権者の配当等に充てられることはなく、破産者が自由に使うことができます。

2 破産申立て前の債権回収

例えば、自己破産手続を弁護士に委任した方が友人に200万円を貸していて、これを受任弁護士が破産申立て前に回収する場合、その処理はどうなるでしょうか。

仮に200万円のうち150万円が回収できた場合、債権回収の弁護士費用として30万円、破産手続の費用として70万円を弁護士に支払うと50万円が残ることになります。

この50万円は破産者の財産となりますが、千葉地方裁判所(支部を含む)での破産手続では、総財産が99万円以下であれば、原則としてすべて自由財産となりますので、この50万円を含めた財産が99万円以下であれば、50万円全額を手元に置いておくことができます。

このように、破産申立て前の債権回収には、その金額により破産費用を賄うことができるというメリットがありますが、債権回収にはある程度の時間がかかるのが通常ですので、早急に破産申立てを行う必要がある場合は、債権回収も破産管財人に委ねることになります。

ただし、債権回収を破産管財人が行う場合は、破産管財人が回収した金額は原則としてすべて破産財団に組み込まれますので、破産者の手許には残らないことになります。

3 消費者破産で問題となる債権

なお、一般の消費者の方の破産の場合、債権回収が問題となる債権があることはあまりありませんが、消費者金融やクレジットカード会社に対する過払い金返還請求権がある場合は、通常、破産申立て前に回収して破産の費用に充てます。

自己破産の手続きにかかる期間

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2024年6月7日

1 弁護士費用等の準備期間

借金の問題でお悩みの方にとって、自己破産手続きを選択した場合に解決までどの程度の期間がかかるのかという点は、気になることの一つではないかと思います。

そこで、本稿では、自己破産手続きを選択した方が、弁護士に委任して手続を進める場合に、解決までに必要となる期間についてご説明いたします。

なお、本稿は千葉にお住まいの方を読者として想定しておりますので、裁判所の手続きにつきましては、千葉地方裁判所の実務を前提としてご説明します。

まず、弁護士に委任して自己破産を行う場合、裁判所への申立ての際に必要となる費用(収入印紙、予納郵券、予納金等)のほか、弁護士報酬(着手金等)や弁護士が事務を処理するにあたり必要となる実費等を、あらかじめ準備いただくことになります。

これらの費用をご親族の援助や保険の解約返戻金等により直ちに一括で準備できる場合は、費用の準備期間はほとんど無視できますが、一括では難しく分割での積み立てになる場合は(なお自己破産の依頼者様の多くは分割になっています)、まず、費用を分割で準備するための期間が必要になります。

なお、分割による費用の準備期間は、依頼者様の収入および支出の状況等によりケースバイケースとなりますが、費用の準備期間中は債権者に待ってもらうことになり、長期間待ってもらうのは相当ではないですので、弁護士法人心では、費用の分割期間は最長でも1年を目安としております。

なお、逸出した債務者の財産を取り戻す必要がある場合など、事案によっては、速やかに破産申立てを行い破産管財人に引き継がなければならない場合もあります。

このような事案では、費用を一括で準備できる場合のみご依頼をお受けするということもございます。

2 破産申立てまでの準備期間

費用を一括で準備できる場合は、特段の事情(例えば破産申立て前に不動産の任意売却を試みる場合など)がない限り、受任後すぐに申立ての準備に入ります。

この場合の申立てまでの準備期間は、債権調査に必要な期間や依頼者の方の状況(必要書類の取り寄せにどの程度の時間がかかるのか等)も考慮し、通常は1~2か月程度に設定しますが、速やかに破産手続開始決定を得る必要がある場合、例えば給料を差し押さえられているケース等では、速やかに準備して申立てを行います。

分割で費用の積み立てを行っている場合は、原則として、費用の積み立てが完了する時期と合わせて申立てができるようにスケジュールを組みますので、費用の積立期間の一部が破産申立ての準備期間になります。

ただ、申立てに必要な資料等の準備が遅れた場合等につきましては、積み立ての完了後も申立の準備が続くことになります。

3 破産申立後、開始決定まで

⑴ 同時廃止手続の場合

同時廃止手続きの場合、破産申立て後、開始決定が出るまでの期間は、裁判官による審尋の有無により違いが出ますが、千葉地方裁判所(本庁)では、以前は審尋が行われることが多かったものの、その後取扱いが変更されたことにより、最近では審尋が行われるケースは少なくなっています。

そのため、審尋が行われないケースでは、申立書の内容や添付資料に不備等がなければそのまま破産手続開始、同時廃止の決定が出され、不備等がある場合は、裁判所に指示された不足書類や追加説明の書面を提出した後、破産手続開始、同時廃止の決定が出されることになります。

申立て後、決定が出されるまでの期間は、不足書類等の提出の要否、提出が必要な場合に提出までに要した期間、および裁判所の内部事情にも影響されますが(例えば申立てが裁判官や書記官の異動の時期に重なった場合はなかなか決定がでないことがあります)、通常は、2週間から3週間程度になります。

⑵ 管財手続きの場合

千葉地方裁判所(本庁)では、管財手続きで申し立てを行った案件については、早期に破産管財人候補者が決まりますので、速やかに予納金(官報公告費)の納付を行い、かつ手続開始にあたって必須となる書類(住民票や委任状)が揃っていれば、通常、1週間から10日程度で開始決定が出されます。

ただし、大型連休直前に申立てを行った場合等は、手続開始までに2週間以上要することもあります。

4 開始決定後、免責決定まで

⑴ 同時廃止の場合

千葉地方裁判所では、破産開始決定・同時廃止決定を出す際に、併せて約2か月間の免責についての意見申述期間が設定されます。

そして、この期間内に免責についての意見が提出されなければ、免責意見申述期間の満了日から通常1週間以内に免責を許可する決定が出されます。

なお、免責意見申述期間に免責について異議を述べる意見が提出された場合は、破産者による反論の提出や、免責審尋が行われる場合があるため、免責決定まである程度時間がかかることになります(レアケースですので詳細は省略します)。

⑵ 管財事件の場合

千葉地方裁判所(本庁)では、管財事件については、債権者集会を行う手続き(これを招集型といいます)と行わない手続き(これを非招集型といいます)に分けられます。

招集型の場合、破産手続が開始した日の2~3か月後に第1回債権者集会の期日が設定され、手続が続行しない場合は、第1回債権者集会期日に免責審尋が行われ、同日に免責決定が出されます。

なお、換価する財産が残っている場合や、配当等がある場合は、手続きは続行しますが、消費者の方の破産の場合、続行するケースは少数ですので、ここでは省略します。

他方、非招集型の場合は、通常、破産手続開始決定日の2か月後程度にまず免責決定が出され、その約2か月後に手続きが廃止されて終了になります。

非招集型で開始した場合でも、その後財産が見つかり配当が必要になった場合等は、債権者集会の期日が設定されることになります。

5 免責決定後

免責を許可する決定は、官報に掲載され公告されることになりますが、官報掲載から2週間が経過しますと、免責決定は確定し覆すことができなくなります。

つまり、同時廃止手続きまたは招集型(非招集型でも債権者集会が行われることになった場合を含みます)の管財手続きの場合、形式的には免責決定の確定により破産手続は終了となりますが、免責決定後、その確定までに異議が出されるケースは極めてまれですので、免責を許可する決定が出された時点で実質的には破産手続は終了したことになります。

ただし、破産手続きによる職業制限等が解除されるのは復権したときで、復権するのは免責許可決定が確定した時点になりますので、職業制限等の影響を受けている方につきましては、免責決定の確定日が重要な意味を持つことになります。

ギャンブルと自己破産

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2024年2月27日

1 ギャンブルと免責不許可事由

破産法252条1項4号は、「浪費又は賭と博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。」を免責不許可事由としています。

この条文に規定されている「射幸行為」がギャンブルですが、このギャンブルにより預貯金などの財産の大部分を失ってしまい、または多額の借金を作ってしまった場合は、免責不許可事由が存在するということになりますので、原則として免責(負債の免除)は許可されないということになります。

一般の方は、ギャンブルで借金をすると一切破産はできない、と何となく考えていることも多いですが、法律的には、大きな財産の減少や多額の債務の負担という結果が必要ですので、ギャンブルで借金をしていても、免責不許可事由に該当しないことも少なくはありません。

例えば、リストラに遭ったため唯一の負債である住宅ローンが払えなくなり破産することになったが、リストラに遭う前にお小遣いとして相当な範囲の金額でパチンコをしていたというようなケースは、免責不許可事由には該当しません。

また、免責不許可事由に該当したら一切免責を得られない、というわけではなく、免責不許可事由があるケースでも、その大部分は、裁判所の裁量により免責が許可されています(これを裁量免責といいます)。

なお、射幸行為に該当する事実には、一般の方の多くがギャンブルと認識している競馬や競輪、パチンコなどのほかにも、宝くじ、スポーツくじなど、一般的には「ギャンブル」のカテゴリーに入るものと考えられていないものも含まれますので、注意が必要です。

また、バイナリーオプション等、投機性の高い金融取引も射幸行為に該当するでしょう。

2 破産申立ての際に提出する資料

ギャンブルで借金すると破産ができないと思い込んでいる方も少なくなく、また、宝くじは一般的にはギャンブルと認識されていませんので、弁護士との自己破産の相談の際に、競馬についてあえて話さなかったり、宝くじについては話す必要がないと考え話さない方もいらっしゃいます。

しかし、例えば、消費者金融は債務整理の受任通知を受領すると取引履歴を開示しますが、その取引履歴を見ると契約直後から毎日数万円ずつの借り入れがあり、それについての債務者本人の説明が要領を得ない場合(一定の収入があるのに生活費のために借り入れたと説明しているようなケース)、プロの法律家は、パチンコや風俗(キャバクラ等)での利用も疑うことになります。

借金やリボ払いでのショッピングには何らかの理由(手持ちがない、1回払いでは支払えない等)がありますが、十分な収入があれば、生活費として支出するために借金をしたり、日常の生活用品についてリボ払いでショッピングする必要性は基本的にありません。

そのため、生活費を賄うための十分な収入があるにもかかわらず借金をしており、それについて合理的な説明ができていない場合は、借金の理由としてギャンブルが疑われることになります。

また、宝くじ等の購入についても、現在では銀行の口座を利用して行うことが可能になっており、そのような方法で購入すると、「宝くじ」というような文字が通帳に記載されますので、宝くじを購入していたことはすぐに判明してしまいます。

というのも、千葉地方裁判所では、破産申し立てを行う際、原則として過去2年分の入出金が記録されている通帳または預金取引明細を提出しなければならないからです。

それゆえ、ご相談の際は、ギャンブルについては正直に弁護士に話してください。

審尋における説明拒絶等の罪とは

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2023年9月29日

1 破産法271条による規定

破産法は、審尋で裁判所が説明を求めた事項について説明を拒む行為や、虚偽の説明をする行為について刑罰を科すこととし、271条において、「債務者が、破産手続開始の申立て(債務者以外の者がしたものを除く。)又は免責許可の申立てについての審尋において、裁判所が説明を求めた事項について説明を拒み、又は虚偽の説明をしたときは、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と規定しています。

最高で3年の懲役を科されるという内容になっていますが、刑法犯では犯人蔵匿罪、証拠隠滅罪、住居侵入罪等が3年以下の懲役を定めており、決して軽い犯罪とは言えません。

なお、懲役刑と罰金刑のうちどちらか一方を科すこともできるし、また双方を併せて科すことも可能です。

2 裁判所での審尋

審尋手続きは、民事訴訟法87条2項に規定されていますが、破産法13条は、特別の定めがある場合を除き破産手続にも民事訴訟法の規定を準用すると定めていますので、破産手続でも審尋が行われています。

破産(免責)手続における審尋では、裁判所が破産手続の開始または免責の判断をするために必要な質問を裁判官が債務者に対して行っており、一般には公開されません。

千葉地方裁判所では、まず、個人の破産を同時廃止で申立てをしたケースで、債務者から提出された書面や資料のみでは、同時廃止で手続きを進めることが相当かどうか、裁判所が判断できない場合に、破産手続開始前に債務者審尋が行われます。

同時廃止は、債務者に、裁判所が規定する以上の財産(例えば20万円を超える預貯金など)がないことを前提とする手続きですので、この債務者審尋では、主に、財産の有無(否認権の行使で回収可能な財産の有無も含みます)のチェックが行われますが、財産がない場合でも、比較的重大な免責不許可事由がある(またはありそうな)場合は破産管財人による調査が必要になりますので、免責不許可事由の有無や内容について確認するためにも行われます(浪費やギャンブルといった事情があるものの同時廃止で進めることになった場合は、免責決定の前提として、破産者が作成した反省文等の提出を指示されることもあります)。

また、管財手続では、債権者集会期日において、債権者集会に引き続いて破産者に対する免責審尋が行われます。

なお、同時廃止のケースでは、千葉地方裁判所では原則として免責審尋は行われませんが、免責についての意見申述期間内に破産債権者から免責について意見が提出され、その内容について裁判所が破産者に質問して確認する必要性がある場合は、免責判断の前提として免責審尋が行われます。

3 説明拒否または虚偽の説明に刑罰を科す意味

審尋手続では裁判官から債務者ないし破産者に対し質問が行われますが、この質問に対して債務者ないし破産者が説明を拒否し、または虚偽の説明をしても何ら法的制裁を受けないとなると、破産手続の公正を維持することが困難となり、破産手続への信頼も失われることになります。

そこで、破産法は、破産手続において裁判所が行う調査(破産法8条2項)において説明を拒み、または虚偽の説明をしたことを免責不許可事由とし、さらに、刑罰も規定することで、債務者ないし破産者の説明拒否を防ぎ、また真実を説明することを促して、破産手続の公正維持を期すこととしました。

破産手続においては、債務者の方は本稿でご説明した点を十分理解し、誠実に対応していただく必要があります。

自己破産の手続きについてご不明な点がある場合には、弁護士にご相談ください。

速やかな自己破産の申立てが必要な事案

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2024年5月7日

1 個人の方の自己破産

個人の方の自己破産で最も多いのは、一般消費者(賃金労働者、いわゆるサラリーマン)の方の破産です。

カードローンやクレジットカードを使いすぎて自転車操業に陥り、返済が困難となって破産に至るパターンです。

使いすぎの原因については、生活費の継続的な不足やギャンブル、浪費が多くを占めます。

このような一般消費者の方の破産の場合、弁護士に自己破産手続を依頼し、返済をストップしたことにより家計収支に余裕が出た部分を弁護士費用の積み立てや生活の再建に充て、弁護士費用の積み立てが完了した段階で自己破産の申立てを行うことになります。

もちろん、ある程度の金額の解約返戻金がある生命保険がある場合などにおいては、その保険を解約して解約返戻金を弁護士費用に充てれば、早期の申立てが可能です。

費用の積み立てを行うと、申立てまでにはある程度の時間がかかります。

貸金業者や保証会社、クレジットカード会社であれば、返済ストップから申立てまで1年程度は裁判を起こすことなく待っていてくれるのが通常です。

2 速やかな申立てが必要なケース

⑴ 財産保全が必要な場合

例えば投資の勧誘を受け、その投資に充てるために消費者金融等から多額の借り入れを行ったところ、それが詐欺だったことが判明し1円も返ってこないというような場合です。

こうした投資詐欺は民法が定める不法行為に該当しますので、投資した金額について、詐欺者に対し損害賠償請求権を有することになります。

この場合において、投資詐欺被害については何もせず、自己破産申立てに必要な費用を積み立てるために時間が経過してしまうと、回収できたはずの賠償金が回収できなくなるということにもなりかねず、その場合には申立人側に責任が発生する可能性があります。

そのため、事案によっては速やかに破産申立てを行い、損害賠償請求権について破産管財人の管理下に置く必要があります。

この場合は、破産のための弁護士費用を速やかに準備していただかなければなりません。

⑵ 給料の差押を受けそうなケース

大手の貸金業者やクレジットカード会社は、弁護士から自己破産の受任通知を受けた場合、強制執行に必要な債務名義を有していたとしても、差押えまでは行うことは通常ありません。

差押えを行って給料から回収したとしても、その後の破産手続で破産管財人から否認権を行使され、差押えで回収した金額を返還する必要があるからです。

しかし、個人や、金融業者ではない会社の場合、否認権について知識がないことがほとんどです。

そのため、弁護士から自己破産の受任通知を受けたとしても、強制執行を行う可能性があります。

そのような危険性がある場合は、速やかに破産申立てを行って、強制執行の可能性を排除する必要があります。

自己破産で提出する資料

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2023年8月22日

1 自己破産で提出する資料

破産手続では、破産者の財産は原則として換価処分され、破産債権者への配当に充てられることになります。

そのため、破産手続では、破産者の財産の有無をチェックすることが重要となります。

そこで、破産手続開始の申立てを行う際には、現預金や不動産等の保有する財産を記載した財産目録を作成し、その資料として不動産登記事項証明書や預貯金通帳、車検証や保険証券(解約返戻金見込額証明書)等を提出します。

また、破産者の収入は資産の有無を推測する上で重要な情報となりますので、給与明細や源泉徴収票等の収入に関する資料も提出する必要があります。

2 なぜその資料の提出が必要か

⑴ 源泉徴収票と課税証明書

千葉地方裁判所では、被雇用者は、収入の資料として源泉徴収票と課税証明書の両方を提出しなければなりません。

提出枚数については、どちらか一方について直近2年分を提出すれば、もう一方は直近1年分でよいとされています。

被雇用者の場合、直近2年分の収入金額を確認するだけであれば、課税証明書が2年分あればその目的を達することは可能です。

ただ、源泉徴収票や課税証明は、控除項目も重要なチェック項目になるため、その両方が必要とされています。

例えば、生命保険に加入している場合、支払った保険料のうち一定額は所得から控除されますが、源泉徴収票または課税証明書に生命保険控除が記載されているにもかかわらず、財産目録に生命保険に関する記述がない場合は、裁判所や破産管財人は、申立人(破産者)に対し、生命保険の有無について問い合わせることになります。

なお、年末調整で生命保険料の控除まで行った場合は源泉徴収票および課税証明書に生命保険料控除が記載されますが、年末調整では生命保険料控除は行わず確定申告で控除を行った場合は、源泉徴収票に生命保険料控除は記載されないため、課税証明書の確認が必要になります。

また、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)は源泉徴収票にのみ記載されますので、課税証明書のみでは住宅ローンがあるのかどうかはわかりません。

住宅ローン控除がなされているにもかかわらず、財産目録に不動産に関する記述が一切ない場合は、裁判所や管財人は不動産の有無について申立人(破産者)に質問することになります。

⑵ 水道光熱費の領収書等

千葉地方裁判所の破産手続では、申立ての際、水道光熱費の領収書等も提出します。

これは、水道光熱費の支払い方法を明らかにするために必要になるものです。

もちろん、通常と比べて金額が高すぎる場合や、家計表に計上している金額と齟齬がある場合はその理由を聞かれることもありますが、それが第一の目的ではありません。

なぜ支払方法のチェックが必要になるかと言いますと、例えば水道光熱費の料金が破産者の銀行口座からの振替になっているにもかかわらず、提出されている通帳にはその記録がない場合、財産目録に記載されていない銀行口座の存在が疑われることになるからです。

これは、自宅が賃貸で家賃が口座振替なのに、提出されている通帳に賃料引き落としの記録がない場合も同様です。

自己破産と通帳の準備

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2023年6月12日

1 通帳の提出が必要な理由

⑴ 財産の調査

自己破産の申し立てを行う場合、どの裁判所でも、申立人が有する(または過去一定期間内に有した)すべての銀行口座の通帳の提出を求められます。通帳の提出が必要なのは、財産の調査をするにあたり必須の資料だからです。

つまり、破産手続では、破産者の一定の財産は換価処分され配当に充てられることになりますが、そのためには破産者の財産を調査しなければならず(もちろん破産申立の際に申立人が作成した財産目録を提出しますが、裁判所はそれを鵜呑みにすることはできません)、そのための資料として通帳は重要であるということになります。なお、財産目録に記載されていない財産の有無については、同時廃止手続では裁判所がチェックし、管財手続では破産管財人が調査することになります。同時廃止を前提に裁判所が通帳をチェックしたところ、財産目録に記載のない財産があるのではないかという疑いが生じた場合は、管財人に調査させるため管財事件に移行し、管財人が選任されることになります。

現在の千葉地方裁判所(支部も含みます)の実務では、個人の方の破産申立ての際は、原則として、破産申立て前の2年間の入出金が記録された通帳や入出金明細を提出しなければなりません。

⑵ 内容によっては新たに説明や資料の提出が必要

破産申立て時点では預貯金はほとんどないものの、過去2年間の通帳または入出金明細を確認したところ1年半前には約300万円あり、そのほとんどが短期間で出金されているようなケースでは、その約300万円の出金の使途について、裁判所または破産管財人は、破産者に説明や資料の提出を求めることになります(なおこのウようなケースでは通常、申立てを代理する弁護士が資料を準備して申立時に提出します)。

また、個人名での入金が申立の直近まで継続的に記録されている場合は、当該個人に対する貸金債権等の債権の存在が疑われますので、同じく破産者に説明を求めることになります(なおこの場合も通常は申立てを代理する弁護士があらかじめ資料等を準備します)。

破産申立て前に解約されている口座でも、その解約が破産申立て前2年間以内の場合は通帳や入出金明細等の資料を提出しなければなりませんが、それは上記のような調査が必要だからです。

2 通帳の準備

お手元にある通帳に過去2年間のすべての入出金が記録されている場合には、その通帳を準備するだけで十分です。

お手元にある通帳だけでは不足している場合は、銀行の窓口で不足部分の明細を発行してもらうことになります。なお、明細の発行については、いわゆる合算記帳(おまとめ記帳)の部分は無料で発行してもらえますが、それ以外の場合は有料になるのが通常です。

また、通帳は破産申立て直前に記帳し、管財事件の場合は破産手続開始決定後に再度記帳する必要があります。自宅または勤務先の近くに記帳が可能なATMがない銀行の口座をお持ちの場合は、早めに解約しておくのも一つの方法です。

3 通帳がない場合

最近ではネット銀行のみならず店舗のある銀行でも通帳を発行しないケースが増えていますが、通帳がない口座の場合は、スマートフォンやパソコンで入出金明細を表示し、それをプリントアウト等することになります(PDFで明細をダウンロードできる銀行もあります)。

ただし、スマートフォンやパソコンで表示できる入出金明細の対象期間が2年より短い銀行もありますので、その場合は、不足部分の発行を銀行に請求しなければなりません。

この入出金明細の取り寄せには、とくに店舗のないネット銀行の場合は数週間程度かかることもありますので、早めの準備が重要です。

自己破産の手続中に旅行や転居をする予定がある方へ

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2023年3月20日

1 破産法37条1項の規定

破産法37条1項は、「破産者は、その申立てにより裁判所の許可を得なければ、その居住地を離れることができない。」と規定しています。

なお「破産者」については破産法2条4項が定義規定を置いており、それによると、破産者とは、債務者であって、破産法30条1項の規定により破産手続開始の決定がされている者ということになります。つまり、破産手続開始の申し立てを行っても、破産手続開始の決定がなされていなければ、破産者には該当しないということです。

そして、宿泊を伴う旅行や転居をすると居住地を離れることになりますので、この規定により制限されることになります。

この制限は、破産手続が開始してから終了するまで適用されますので、破産手続開始と同時に手続が終了(廃止)する同時廃止の場合は適用されません。なお同時廃止の場合、手続の廃止から免責決定まで2か月程度かかりますが、免責決定が出る前でも自由に旅行や引っ越しを行うことができます(ただし、免責決定前に住民票を異動する場合は、裁判所に新しい住所の住民票を提出しなければなりません)。

また、上記のとおり破産手続開始前は、制限は適用されませんが、破産申立て前に転居する場合、破産申立てを行う管轄裁判所が変わってしまう場合がありますので、担当弁護士に必ず相談してください。ご相談の際に既に転居することが決まっている場合も、必ず弁護士にその旨申告してください。

2 制限の趣旨

破産者の旅行や転居を制限する規定の趣旨は、主に、破産管財人による財産調査や免責調査に支障が生じるのを防ぐという点にあります。

そのため、千葉地方裁判所(支部を含む)では、本稿執筆時点(令和4年12月)では、旅行や転居について破産管財人の同意を得た旨を記載した上申書を裁判所に提出すれば、裁判所が黙示に転居等を許可するという扱いになっています。

なお、現在では情報通信技術が高度に発展しており、海外出張の場合でもネット回線を利用したミーティングやメールで容易にやり取りができますので、制限が必要なケースは破産法制定時よりも減っています。

3 同時廃止での注意点

本稿執筆時点(令和4年12月)では、千葉地方裁判所における同時廃止手続の場合、破産申立て後、破産手続開始決定前に、裁判官による面接が行われることはありますが、同時廃止の決定後、免責決定前に裁判所への出頭を要請されることはまずありません。

ただ、同時廃止の決定時には免責についての意見申述期間もあわせて定められますが、その期間内に破産債権者から免責について異議を述べる意見が提出された場合は、例外的に裁判所で免責審尋が行われる場合があります。

そのため、同時廃止の場合でも、免責決定が出るまでは遠方への長期旅行等は可能な限り控えた方がよいでしょう。

なお、千葉地方裁判所では、同時廃止の決定からから免責決定までの期間は通常3か月弱程度です。

また、以上は千葉地方裁判所およびその支部での扱いであり、別の都道府県では同時廃止の場合でも免責決定前に必ず免責審尋が行われる裁判所もありますのでご注意ください。

自己破産をお考えの方は金銭の援助にご注意ください

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2022年12月29日

1 贈与が無償行為否認の対象となるおそれがあります

破産法160条3項は、破産者が支払の停止等があった後またはその前6か月以内にした無償行為、または無償行為と同視できる有償行為について、破産管財人による否認権行使の対象としています(無償行為の典型例は贈与で、無償行為と同視できる有償行為は例えば時価100万円の車を1万円で売却したようなケースです)。

例えば、返済の目途が立たないため自己破産することを決意したものの、1年前に現金で購入した高級車を手放したくないため、弁護士に自己破産手続を依頼して支払をストップする直前にその車を同居の家族に贈与して登録名義を変更していた場合、破産管財人は、その贈与を否認して登録名義を破産者に戻すことができます。

ただ、このような破産犯罪にも該当し得る露骨な財産隠しのケースは、それほど多くはありません。

無償行為否認で多く問題になるのは、むしろ、それを行う本人が破産手続で問題になるということをほとんど認識していない行為です。

2 法的義務のない援助

⑴ 通常問題とならない行動

例えば要介護の親が介護施設に入っており、親の資産や年金等の収入だけではその費用をまかなうことができない場合に、子が不足する費用を援助することは、民法で定められた扶養義務の履行であり、その子が破産手続を行う場合でも、援助額が妥当であれば、通常は問題となりません。

また、社会人の子が実家で親と同居している場合に、生活費として毎月社会的に相当な金額のお金を家に入れることも、住居提供等の対価と言えますので、子の破産手続で問題となることは通常ありません。

⑵ 問題となりうる行動

しかし、例えば社会人となって独立した世帯を持った子が、それまでのお礼として毎月の給料から一定額を親に継続して送金しているケースで、破産手続を行うことになったその子が支払停止の6か月前以降もその送金を継続していた場合、親が自らの収入等のみでは生活できない等の事情がない限り、破産管財人によって否認権を行使される可能性があります。

このような送金は、道義的にはむしろ評価される行為のため、破産手続で問題になり得るということに気付きにくい面があります。

また、たとえば離婚後パートの仕事をしている元妻に対し、正社員で収入が安定している元夫が継続的に生活費の援助をする行為も、それを支払停止の6か月前以降も継続していた場合は、夫の破産手続で問題となる可能性があります。

なぜなら、離婚により夫婦間の協力義務はなくなりますので、元夫による元妻への援助は協力義務の履行ではなく単純な贈与になるからです。

離婚して貧困に陥った女性を支援するのは一般的に評価される行為ですので、これが破産手続で問題になるということにもなかなか気づきにくいです。

ただ、元夫にお金を貸している業者の立場から見れば、元妻に生活支援が必要であればそれは福祉として国や地方公共団体が行うべきで、元妻に援助する金銭があるのであればそれをまず返済に充てるべきだ、ということになるでしょう。

自己破産手続における退職金の扱い

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2022年12月6日

1 自己破産手続における退職金

自己破産手続では、破産者の有する財産は原則として破産財団に帰属し、破産管財人によって換価処分されることになります。

例えば、破産者が解約返戻金の発生する生命保険に加入していて、破産開始時の解約返戻金見込額が200万円の場合、破産管財人は、その保険を解約し、支払われた解約返戻金は破産手続遂行の費用や破産債権者への配当に充てられることになります。

破産者の退職金請求権(破産開始決定時に破産者が自己都合退職したと仮定した場合に支給される退職金見込額)も、破産者の財産になりますが、退職金請求権の4分の3は差押禁止債権になりますので、4分の1が破産財団に帰属することになります。

ただし、例えば40歳の方が破産する場合、定年退職を前提とすれば、退職金を受領するのは20年以上先になり、その間勤務先が倒産してしまうことも想定されますので、退職金を確実に受領できるかどうかは不明です。

そのため、多くの裁判所では、破産財団に帰属する退職金請求権を退職金見込額の8分の1としています。

2 実際の破産手続での扱い

千葉地方裁判所では、20万円を超えない財産は破産管財人の換価の対象外とされ、20万円を超える財産がある場合でも、他の財産とあわせて99万円を超えない場合は原則として換価の対象から除外されます(これを自由財産の拡張と言います)。

一般の方の破産手続では、退職金見込額の8分の1の金額とその他の財産の合計が99万円を超えることはそれほど多くはなく、管財事件となった場合でも、自由財産の拡張申立てのみで済むケースがほとんどです。

ただし、退職金見込額の8分の1の金額とその他の財産の合計が99万円を超える場合は、99万円を超えた金額について、預貯金や破産手続開始後に受領した給料など別の財産から破産財団に組み入れることになります。

なお、退職金請求権が例えば1600万円(8分の1は200万円)あるものの、他にめぼしい財産がない場合は、99万円を超える部分(101万円)を破産手続開始後の給料から組み入れることになりますが、毎月組み入れられる余裕額が例えば5万円の場合、101万円全額を組み入れるとすると1年以上かかってしまうことになります。

このような場合は、破産管財人および裁判所と協議し、どの程度積立を行うのかを決めることになります。

3 退職が間近の場合

退職が間近に迫っている場合は、勤務先が倒産して退職金が支給されないというリスクも低くなりますので、退職金見込額の4分の1が破産財団に組み込まれます。

また、破産手続開始決定前に退職金が預金口座に振り込まれてしまうと、財産の種類としては退職金請求権ではなく預貯金となり、預貯金は差し押さえに制限がありませんので、その全額が破産財団に帰属することになります。

破産手続を弁護士に委任した後に急に退職することになったという場合は、弁護士にすぐに知らせてください。

自己破産手続を弁護士に依頼した場合に必要となる費用について

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2022年10月12日

1 はじめに

個人の方が弁護士に依頼して自己破産手続を行う場合、どのような種類の費用が必要になるのでしょうか。

ここでは、個人の方が弁護士に依頼して千葉地方裁判所(木更津支部等の支部も含みます)で自己破産手続を行う場合を念頭に置いてご説明します。

2 弁護士報酬

弁護士に依頼して自己破産手続を行う場合にまず必要となるのは、弁護士報酬です。

⑴ 着手金

弁護士報酬のカテゴリーに入る費用としては、着手金、成功報酬金、日当等があります。このうち、着手金は、自己破産手続ではどの法律事務所でも必要になります(なお、「着手金」ではなく「手数料」という名目にしている法律事務所もあります)。

着手金は、「着手」という名称のとおり、弁護士が依頼を受けた事務に着手する際に受領するものです。

しかし、個人の方の自己破産手続では、弁護士への相談を決断するまでに預貯金など現金化できる財産はすべて返済に充てている方が多く、着手金を一括で準備できることは少ないため、多くの法律事務所は分割払いを取り扱っています。

ただし、分割払いの場合、自己破産の申し立ては原則として分割払いが完了した時点で行うことになり、その間債権者に待ってもらうことになりますので、分割払いの期間については一定の制限を設けているのが通常です。

⑵ 成功報酬金

自己破産手続の場合、成功報酬金を定めていない法律事務所も増えていると思いますが、定めている法律事務所の場合、免責を許可する決定が確定した場合に成功報酬金が発生すると定めているのが通常でしょう。

なお、ほとんどの自己破産事件で免責は許可されています。

⑶ 日当

日当は、弁護士が債権者集会や破産管財人面接に出席する場合に発生します。

自己破産手続の場合、着手金のほかに日当を別途取らない法律事務所もありますが、そのような法律事務所では、平均的な出廷等の回数を考慮して着手金の金額を決めているものと考えられます。

⑷ 着手金の金額の定め方

着手金の金額については、定額としている法律事務所と、「○○万円~」として最低金額を定めている事務所があります。

なお、定額としている事務所でも、同時廃止事件と管財事件を区別し、金額に差を設けている法律事務所もあります。

「○○万円~」として最低金額のみ定めている法律事務所の場合、これから法律相談を申し込もうと考えている方にとっては、具体的な金額がわからずご不安になるかもしれませんが、事案の難易度に応じて料金を調整することが可能な定め方になっています(なお、定額の場合でも、事案により増減がある旨が明記されていることがあります)。

お問合せ・アクセス・地図へ

お問合せ・アクセス・地図へ

自己破産を検討されている方へ

破産に関する不安や疑問

自己破産をした場合のメリット・デメリット、破産後の生活の見通しについてなど、破産前に色々と知っておきたい事柄があるかと思います。

本やインターネットを用いて自己破産に関する情報を集めることはできますが、借金の金額や事情は人それぞれ異なりますので、自分の状況に合致した情報を見つけることができず、破産に関する不安や疑問を払拭できずにいる方もいらっしゃるかもしれません。

自己破産について相談にのらせていただきます

弁護士法人心では、自己破産を得意とする弁護士が相談にのらせていただきます。

「自己破産をした方がいいのか判断できない」「自己破産をした場合の見通しについて知りたい」といった皆さまのお悩みに真摯に耳を傾け、適切なサポートやアドバイスをさせていただきます。

どのくらい費用がかかるのかについてもしっかりとご説明させていただきます。

自己破産をするか迷っているという段階から相談にのらせていただきますので、破産に関して不安や疑問がありましたら、お気軽に当法人の弁護士にご相談いただければと思います。

当事務所は駅近くの来所しやすい場所にありますし、すぐの来所が難しい場合であれば、まずはお電話でご相談いただくということも可能です。

自己破産をお考えの方は、まずは当法人までご連絡ください。

お問合せ・アクセス・地図へ